東日本大震災から6年、復興への想いに立ちあがって
~「フェローオーケストラ」のデビュー公演(東京・相馬)~

FESJ/2017/Mariko Tagashira

 東日本大震災からちょうど6年を迎えた3月11日、「フェローオーケストラ」の『第1回チャリティコンサート』が東京のパルテノン多摩で開催されました。終演後、「フェローオーケストラ」は福島へ移動、翌12日に「相馬子どもオーケストラ」と相馬市民会館で共演し、子どもたちと地域の方々と復興へかける想いをひとつにしました。

フェローたちの熱い想い

 エル・システマジャパンの活動を音楽指導ボランティアとして被災地でサポートするなかで生まれてきた、フェローたち。その数は、ひとり、ふたりと増え、志ある音楽家たちの集まりは、「フェローオーケストラ」という大きな夢を生みました。「音楽の力が子どもたちをつなぎ、子どもたちが成長しながら地域コミュニティに元気を与えている姿を目の当たりにして、自分たちも成長していかなければならないと思った」と、フェローオーケストラ代表の八木澤佑理子さんは話します。

フェローオーケストラのリハーサルの様子(FESJ/2017/Mariko Tagashira)

高校1年生から60代のシニアまでが参加する「フェローオーケストラ」の団員数は、現在88名。そのうち約80名が今回の公演のステージに上がりましたが、その多くが学生や社会人としての生活も営むかたわら、フェローとして被災地に赴き、さらに今回の公演へ向けた練習にも参加。それは決して容易なことではありません。団員全員が集まる機会があまりないなか、フェローたちはメーリングリストなどを使って、自分たちは何のためにオーケストラをやっているのか、オーケストラを通じて何を伝えたいのか、仲間同士で意見を交わしながら進むべき道を模索してきました。

いよいよ本番を迎えて

 11日の公演では、バーンスタインの『ウエスト・サイド・ストーリー』より「シンフォニック・ダンス」、マーラーの交響曲第5番第4楽章「アダージェット」、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を披露。ご来場くださった約500名のお客さまは、「フェローオーケストラ」の演奏に盛大な拍手を送ってくださいました。

 また曲間には、会場のお客さまと被災地へ1分間の黙祷を捧げました。普段はばらばらの生活をおくっていても、その場にいるみんなが同じ方向を見つめ、被災地への想いをひとつにした時間でした。

​​ アンコールの演奏に選ばれたのは、なんと、「マンボ」でした。「マンボ」といえば、本場ベネズエラのエル・システマの18番ですが、日本の「フェローオーケストラ」も負けていません。普段はもの静かな団員たちも前奏がはじまると体を揺らしてリズムをとり、聴衆も手拍子で参加。もちろん、団員による「マンボ!」のかけ声も絶妙なタイミングで入り、会場全体がラテンの情熱に沸きました。

 その翌日の相馬公演。こちらは「相馬子どもオーケストラ」の子どもたちが合流し、にぎやかなステージに。バッハのブランデンブルグ協奏曲第3番ト長調BWV1048、モーツァルトのディヴェルティメント ヘ長調K.138、パッヘルベルのカノン ニ長調、マーラーの交響曲第5番第4楽章「アダージェット」、それから、昨年ベルリンフィルとの共演で注目を集めた、ベートーヴェンの交響曲第5番ハ短調「運命」が演奏されました。音楽の先生であり、憧れの先輩でもあるフェローたちの演奏に、リハーサルから意識を研ぎ澄ましている子どもたちの姿が印象的でした。また、受験を終えたばかりの相馬高校と相馬東高校の管楽器メンバーも一緒に加わり、「相馬子どもオーケストラ」にとっては大曲への挑戦もわくわくするような経験だったようです。

リハーサルの合間にフェローと話をする相馬子どもオーケストラのメンバー(FESJ/2017/Mariko Tagashira)

アンコールはオーケストラ用に編曲された、「相馬盆唄」。からりと潔い和太鼓が、弦楽器の音色とともに響きわたり、相馬ゆかりのこの曲に会場にいらした地域の方々は大いに盛りあがりました。

​次のステージへ向かって

 「フェローオーケストラ」の記念すべきデビュー公演となった、『第1回チャリティコンサート』。代表の八木澤さんは、「生まれ育った環境や文化的な背景が異なる人であっても、それぞれの違いを尊重しながら、一人の人間同士としてつながり合い、お互いを思いやることができる社会を目指したい。それは音楽を通じて実現できると思う」と訴えます。「フェローオーケストラ」というコミュニティの誕生は、その目標達成への第一歩なのかもしれません。また、指揮の浅岡洋平先生(エル・システマジャパン音楽監督)は、「お客さまが温かかった。オーケストラは互いに知らない人間同士で集まって、チームとしての力をつけていくのが難しいけれど、いい船出だった。みんな、これからです」と、これから活動に息を弾ませました。

11日の東京公演では152,974円、12日の相馬公演では110,402円の募金が集まり、合計263,376円が、「フェローオーケストラ」からエル・システマジャパンに寄付されます。「フェローオーケストラ」の皆さんの熱い想いに感謝するとともに、今後のますますの活躍を期待しています。そして、『第1回チャリティコンサート』に足を運んでくださった皆さま、スポンサー協力をしてくださった福島県相馬市のホテルコーラス相馬さまをはじめ、この公演の実施に向けてご協力くださったすべての皆さまにも心からの御礼を申しあげます。ありがとうございました。

演奏会の様子は相馬市のYoutubeチャンネルにてご覧いただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=X392GTJPxgI

https://www.youtube.com/watch?v=Px_xNGuKwbg

https://www.youtube.com/watch?v=fcAKw1lPajQ

(上)2017年3月16日付け福島民友相双版

(下)2017年3月18日付けの福島民報相双版

(文:仲川美穂子 エル・システマジャパン広報官)