大槌子どもオーケストラ クリスマスコンサート2017

(FESJ/2017/Mihoko Nakagawa)

岩手県大槌町では12月24日に、『大槌子どもオーケストラ クリスマスコンサート』 が開催されました。会場となった大槌町中央公民館は、冬の大槌湾を望む高台にあります。町内では一番大きい会場で、「大槌子どもオーケストラ」のコンサートをここで開くのは今回がはじめて。2年前は保護者の方たちに日頃の練習成果を発表するために仮設の子どもセンターにて、1年前は沢山地区の方たちもお招きして沢山地区集会所にて、そして今年はいよいよ大槌町の皆さんに、成長した子どもたちの演奏を聴いていただこうと、この会場を選びました。

大槌町の皆さんへ、音楽のクリスマスプレゼント

午前中のリハーサルに続々と到着した「大槌子どもオーケストラ」の子どもたち15名。『大槌子どもオーケストラ クリスマスコンサート』と大きくしっかり書かれたステージのバナーや、保護者の方が運んでくださったクリスマスツリーに、いつもとはちがう空気が会場に漂います。少し緊張した面持ちの子もいれば、大きな会場を元気いっぱいに走りまわる子もいました。

そして迎えた本番。子どもたちはステージに上がり、第1部は「キラキラ星」、「星めぐりの歌」、「大きな古時計」などを演奏。昨年と同じ演目もありますが、格段に上達しています。地道な努力を重ねてきた成果なのでしょう。第2部は、チェロとクリスマスの曲を中心にお届けし、会場は温かなクリスマスの雰囲気に。客席の方たちは、演奏に合わせて体を心地よさそうに揺らしたり、弦楽器を真剣に弾く子どもたちの姿をじっと見つめたり。最後の演目「ジングルベル」が終わっても拍手は鳴り止まず、子どもたちはアンコールで「ひょっこりひょうたん島」を演奏しました。この日を楽しみに演奏を聴きにいらした大槌町議会議員の東梅守さんは、「大槌町では子どもの人数が少ないこともあって、音楽は敷居が高かった。しかし震災後、音楽が徐々に広がりつつある。こういった子どもたちの活動の場が広がることで、復興が見えてくる」と感想を話してくださいました。

子どもたちと一緒に飾ったバナー(FESJ/2017/Kayo Kato)

(FESJ/2017/Mihoko Nakagawa)

次の目標へ向かって

終演後、子どもたちはみんな晴れやかな笑顔でした。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」に前日の夕方まで熱心に取り組んでいた道太郎くん(4年生・バイオリン)は、「いつもよりよく弾けた!」と満足の様子。ふたり仲よく並んでチェロを演奏している姿が印象的だった真理亜さん(7年生)と天使くん(5年生)の姉弟は、「思った通りに弾けて、楽しかった(真理亜さん)」、「(チェロだけで演奏した)アメイジング・グレースは、いっぱい練習したので、スラーとかいつもよりよくできた(天使くん)」と自分の演奏に手応えを感じた様子。

チェロを演奏する真理亜さんと天使くん(FESJ/2017/Mihoko Nakagawa)

そして、凛々さん(3年生・バイオリン)は「お客さんがたくさんいたから緊張感があって、よく弾けた」という何ともたのもしい感想。この1年は東京や軽井沢への演奏旅行にも積極的に参加し、バイオリンを弾きながらお客さんの空気を感じる余裕が出てきたようです。

 子どもたちは会場を片づけると、櫻井うらら先生からメッセージが書かれた手作りのカードとお菓子、それからクリスマスプレゼントに新しい楽譜をもらいました。クリスマスコンサートはひとつの節目。終わった瞬間から次のステップへと進むのです。「みんな1年前と比べて成長した」と櫻井先生。大槌町出身の臺隆明コーディネーターも「やっと大槌町の皆さんにお披露目できるレベルになった。今後は岩手県民、日本全国、そして世界へ、子どもたちが音楽を届けられたら」と尽きぬ夢を語りました。

(文:仲川美穂子 エル・システマジャパン広報官) 

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FESJ/2017/Mihoko Nakagawa&Kayo Kato)