バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテットin相馬

FESJ/2017/Mariko Tagashira

2017年3月27日、相馬市総合福祉センター(はまなす館)において、『バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテットin相馬』が開催​されました。翌日には相馬子どもオーケストラを訪問し、子どもたちはカルテットのメンバーから直々に合奏指導をいただくという大変貴重な機会を得ることが​できました。

4台のヴァイオリンが醸し出す豊潤で壮大な音楽

3月27日夜のはまなす館でのコンサートでは、ヴァイオリン4台という特殊な編成によるカルテット(ヴァイオリン1台、ヴィオラ1台、チェロ1台というのが一般的な編成です)で6曲演奏されました。

特に、このクァルテットのために捧げられた、ワーグナー作曲、廣田はる香、ホン・ナリ編曲の「ニーベルングの指輪」組曲。通常なら4夜16時間にかけて、100人を越えるフルオーケストラで上演される皆が知るワーグナーオペラの大作。これを30分にまとめて、4人のバイオリニストだけで演奏するという途方もない試み。そこをクァルテットのメンバーは、限りなく濃密な演奏を通して、ワーグナー作品に共通して現れる「愛による救済」を表現してくれたのです。

4台のヴァイオリンが醸し出す豊潤で壮大な音楽世界に、子どもオケやコーラスのメンバーの子どもたちも深く感動していました。

 

そんな子どもたちの一部メンバー(4月1日東京駅コン参加組)は、翌日には、マエストロたちから特別マスタークラス(合奏指導?)を受ける貴重な機会も。相馬市HPでは、その時の真剣ながらも楽しそうな様子が紹介されています。

バイロイト・祝祭・ヴァイオリンカルテットについて

<バイロイト祝祭音楽祭>は、1876年にリヒアルト・ワーグナーが自作の楽劇を上演する為に始めた世界で最も古い歴史を持つ音楽祭である。その会場となる<祝祭歌劇場>も、当時既存の劇場に満足出来なかった彼自身が設計し、メルヒェン国王として知られるバイエルン国王、ルードヴィッヒ2世の絶大な援助を得て、バイエルン州バイロイト市北の小高い丘の上に建てられた。以後音楽祭は夏に、世界中から選りすぐりの指揮者と歌手を集めて開催され、今年(2016年)で105回目を迎える。

 

そこで演奏する<祝祭オーケストラ>は、ドイツを主に、ヨーロッパ各国から「夏の休暇を犠牲にしてもワーグナーの作品を演奏したい」という熱意を持つ優秀なメンバーを集めて編成され、練習公演を合わせ約10週間の間、ワーグナーの楽劇だけを集中して演奏する。<バイロイト祝祭ヴァイオリン・カルテット>は、2005年夏、そこに多年参加している第一ヴァイオリン奏者4人(全員ドイツ国内で確固たるポジションを持つ)により結成され、祝祭オーケストラ唯一の室内楽アンサンブルとして長年演奏活動を続けている。<ニュルンベルクを中心に、バイエルン州北部を総括する経済産業文化圏の文化使節>の称号を得、主に音楽祭開催中、バイロイトやその近郊を中心に、またニュルンベルク、ドレスデン、ベルリン等のドイツ各地でのコンサートに加え、2009年にはブリュッセル、日本に招かれ「大変楽しく,しかも充実した演奏」と絶賛を博した。ワーグナー生誕200年を記念する2013年には、<東京・春・音楽祭>の招きで再度日本に招かれ好評を得ている。2016年は<神々の黄昏>の上演で<東京・春・音楽祭>の<リング>が完結する機会に、3度目の日本旅行が企画されている。このアンサンブルには、ラディスラフ・クプコヴィッチによる«ローエングリュン・バリエーション», フォルカー・ダーヴィット・キルヒナーによる«エッコ・ヴェネーディッヒ»という、ワーグナーに関わる二つの作品の他、番場俊之による«あの空____»という委嘱先品がある。なお2016年には若い日本人作曲家によるヴァイオリン4本の為の«リング»委嘱編曲もプログラムに加わる予定である。

 

2009年秋、東京浜離宮朝日ホールでのコンサートのライブ録音によるCD『響きの旅』は、日独両国の批評家から好評を得た。2015年5月、結成10年を記念するベルリン、オエルベルク教会でのコンサートをライブ録音した2枚目のCD『バイロイトのカーニバル』も、ドイツの月刊<オーケストラ>誌で好評を得、また日本の<レコード芸術>誌でも海外盤の項で紹介され絶賛を博している。