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ハウバー博士からの贈り物


日本時間の3月11日、ドイツはベルリンのフィルハーモニーで、「相馬子どもオーケストラ」の代表メンバーがベルリンフィルの有志メンバーと共演させていただきました。指揮者のドッズさん(第二バイオリン奏者)、第一コンサートマスターのスタブラワさん他、ファゴットやコントラバスの首席を含む蒼々たるベルリンフィルのメンバーとドイツの一流音楽家たちがボランティアで参加してくださいました。またベルリンフィル財団の協力により、9日と10日はフィルハーモニー室内楽ホールの使用が終日無料でした。

こうしたことがすべて可能になったのは、ハウバー博士とその奥様のイングリットさんの人徳によるところが大きいのです。「5年後の福島」という主題のついたこのコンサートは、小児科医であるハウバー博士がメンバーのIPPNW(核戦争防止国際医師会議)-Concertsが主催しました。IPPNWといえば、エル・システマジャパンが設立まもなく資金不足にあえいでいた時、まさにこのフィルハーモニー室内楽ホールでチャリティーコンサートを開催し、「相馬子どもオーケストラ」の設立のためにその売り上げを全額寄付してくれた組織です。今回の「相馬子どもオーケストラ」との共演でも、広告などの諸経費をのぞいた全額をエル・システマジャパンに寄付していただくことになり、9634.05ユーロ、日本円で1,064,273円が今週こちらの銀行口座に振り込まれました。

なぜ、ドイツのハウバー博士が、相馬の子どもたちのために奔走してくれるのでしょうか。新潮社の「Webでも考える人」に掲載されている中村真人さんの記事、「震災5年 恩返しの旅 相馬からドイツへ(http://kangaeruhito.jp/articles/-/1698)」が、ハウバー博士の信念をよく伝えています。

「人が互いを理解し合う上で音楽以上に優れた言語はありません。音楽は子どもの成長を促進し、多くのことが楽器を通して学べます。例えば、繊細な指の動き、静かでいること、他の人の音を聴くこと(それは誰にでもできることではありません)、集団で一緒に作業すること、自分が得た喜びを他者に分け与えること」

ハウバー博士は相馬の子どもたちが共演した「5年後の福島」をふり返り、「午前中の最初のリハーサルが始まった瞬間、鳥肌が立って、涙が出てきたんです。超一流のプロと子どもたちがあっという間に仲良くなり、一つの音楽をともに作り上げようとする熱い思いを感じましたね(中村さんの記事より)」と語っています。

ハウバー博士ご夫妻をはじめ、ドイツ公演ツアーを実現させてくださった皆さまに心から感謝すると同時に、その熱い思いを相馬の子どもたちの未来に繋げていきたいと思います。いただいた寄付金は、そのために大切に使わせていただきます。

(写真は、日独センターでのコンサート後、子どもたちにIPPNW-ConcertのCDを配っているハウバー博士ご夫妻)

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