被災地の復興に向けた年月は、子どもたちが大人になる人生の過程そのものです。東日本大震災で心身ともに影響を受けた子どもたちに、ふたたび夢と希望を持ち、音楽を通して生きる力を手にしてもらいたい。そんな思いから2012年、エル・システマジャパンの設立とともに最初の拠点となった、福島県相馬市。

小学校への楽器支援・指導支援（弦楽器）からスタートし、やがて市内の子どもなら誰でも参加できる「弦楽器教室」「合唱教室」が始まりました。2013年末、135名の「相馬子どもオーケストラ＆コーラス」としての初公演を、震災後に再建された相馬市民会館にて開催。その後は「エル・システマ子ども音楽祭 in 相馬」として毎年開催し、現在は第8回を迎えています。
 

2023年現在、活動に参加する子どもたちは小学生から高校生までの約80名。2017年からは木管楽器を中心とした「管楽器教室」も始まり、まさに”相馬の子どもたちだけのオーケストラ”の実現が近づいています。コーラスも、日本各地を飛び回りながら大舞台での演奏経験を重ね、毎年恒例となった振付け付きの楽曲をマスターしながら、“歌って踊れるコーラス”へと成長を続けています。
 

生き生きと音楽に打ち込む子どもたちの溢れるエネルギーは、音楽が大好きな相馬の大人たちにも届き始め、温かいサポートの輪が拡がりつつあります。私たちはこれからも、相馬の人々のオーナーシップを大切にした、地元に根づいた持続可能な仕組みを模索しながら、相馬の子どもたちに寄り添った活動を展開していきます。