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第8回エル・システマ子ども音楽祭 in 相馬

2023年3月25,26日

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第8回エル・システマ子ども音楽祭 in 相馬 イベントレポート

8回目を迎える相馬での子ども音楽祭も、吹奏楽・コーラス・弦楽合奏・オーケストラの編成で、子どもたちの多彩な音楽お届けすることができました。
今年は特に、子どもコーラス、子どもオーケストラそれぞれに今までにないような大曲への挑戦がありました。この挑戦に誠実に向き合い、仲間と練習を重ねたことで、子どもたち自身も想像し得なかった、ひと回りもふた回りも成長した姿、そして「今の私たちの音楽」というものにたどり着いたように思います。

 

また今回の音楽祭は2日間ともにこれまでで最も多くのお客様にお越しいただき、相馬子どもオーケストラ&コーラスにとってコロナ禍からの再始動を感じさせる集大成の演奏会となりました。

 

地域の皆様と手を携え、音楽祭を成功に導くことが出来たことは大変うれしく、関係者の皆様のご尽力、市民の皆様からの温かい応援・ご支援には感謝の気持ちでいっぱいです。

 

写真と共に、2日間のフェステイバルを振り返ります。

                                           1日目:吹奏楽ステージ、コーラスステージ

吹奏楽ステージには、前回に続き相馬市内の3つの中学校の吹奏楽部が出演。中村第二中学校が「青と夏」(大森元貴作曲)など3曲を、向陽中学校が『ハウルの動く城』から「人生のメリーゴーランド」(久石譲作曲)など2曲を、中村第一中学校が「ロマネスク」(J.スウェアリンジェン作曲)など2曲を披露し、吹奏楽ならではの華やかなサウンドを会場いっぱいに響かせてくれました。
観覧に来ていた小学生たちからも、「かっこよかった。中学生になったら吹奏楽部をやってみたいです。」という感想が寄せられていました。
        
                                    

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コーラスステージは、賛助出演を続けてくださる地元の合唱団、相馬合唱団エスポワールの皆さんによる「麦の唄」(中島みゆき作詞作曲)、「Stand Alone」(小山薫堂作詞・久石譲作曲)の美しい合唱でスタートしました。

 

続いて相馬子どもコーラスが、1曲目に子ども目線のかわいらしい詩を集めた合唱組曲「小さな目」(湯山昭作曲)を披露。

そして、今年度力を入れて練習してきたロジャーズの「サウンド・オブ・ミュージック」を、全編英語の歌詞で見事に歌いきり、舞台をめいっぱい使った踊りでも会場を魅了しました。

全員がそれぞれ担当した個性光るソロパート、英語の発音や振付けの細かな調整など、本番当日までの道のりは決して楽ではなかったはずですが、音楽監督の古橋先生、振付の彩木エリ先生をはじめとする先生方・エキストラとして出演してくださったレガーロ東京の皆さんのサポートの元、子どもたちはまた一つ壁を乗り越え、今の相馬子どもコーラスだからこそできる「サウンド・オブ・ミュージック」をお届けすることができました。

本番直後、「大変だったけど終わってしまって寂しい」と涙をこぼす子がいたほど、子どもたちにとって思い入れと達成感のあるステージになりました。
 

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昨年からコーラスに加わり、今回が初めての音楽祭だったひろみさん(小4)は、「本番前は緊張しましたが、ステージではみんなと歌うのがとても楽しく、夢中で歌っていました。」と、初舞台の感想を興奮冷めやらぬ様子で聞かせてくれました。

アンコールには、震災をきっかけに作られた「ほらね、」(伊東恵司作詞・松下耕作曲)を披露。震災から12年経った今、その記憶を風化させることなく歌声を通して繋いでいきたいという思いを込めた朗読に続き、全員で心を込めて歌い上げました。                                      
 

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                                          2日目:弦楽合奏ステージ、オーケストラステージ

 

子どもオーケストラの弦楽合奏ステージは、チャイコフスキー作曲「弦楽セレナーデ」より第1楽章から。気迫に満ちた最初の一音は、それだけで会場の空気を変えてしまうようでした。

次いでバルトークの「ルーマニア民族舞曲」を弦楽器メンバー全員で披露しました。ソロを務めたすみれさん(高1)のまさに踊るような素晴らしいリードに、オーケストラ全体がよく反応し、各舞曲の雰囲気を多彩な音色で表現しました。
 

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更に管打楽器を迎えた100人のオーケストラ編成で「パイレーツ・オブ・カリビアンメドレー」を演奏。昨年夏から楽器を始めたばかりの小学生の管楽器メンバーも、特別に準備された譜面を使って一緒にオーケストラデビューを果たしました。
その一人、フルートのいぶきさん(小5)は「本番が始まると緊張が解けて、これまでやってきたものを全て出し切れた。次の音楽祭ではもっと上手に演奏したいです。」と感想を聞かせてくれました。

そしてこの日のメインプログラムであるブラームスの交響曲第1番。小学5年生から高校3年生までの子どもたちの大きな挑戦を、音楽監督の木許先生の指揮のもと、オケのOBOG、音大生やアマチュア、プロのエキストラの皆さんが演奏で支えてくださいました。
重々しく壮絶な雰囲気の冒頭から勝利の喜びに満ちた4楽章へ、45分に及ぶ長く壮大なブラームスの音楽を、子どもたちは全身全霊で演奏し切りました。

 

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そして2日間のフィナーレには、子どもコーラスと相馬男声合唱団の皆さんも迎え、定番となった「相馬盆唄」を客席からの手拍子とともに会場全体で存分に楽しみました。

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終演後に子どもたちから感想を聞く中で、コーラスのいくえさん(中3)が印象的な感想を寄せてくれましたので、ご紹介致します。

「はじめは「サウンド・オブ・ミュージック」をやると聞いて、飛び上がるほどうれしかったのを覚えています。でも歌詞は、全部英語で、振り付けもついてくる。おまけに私は当時受験生で、練習の参加日数も他の人たちとは圧倒的に少なく、「このままで私は本番を迎えられるのか」と思いました。けれど、「思っているだけで何もしなければ、現状は変わらない」ことに気付き、家での自主練や先輩たちに教えてもらいながら、何とか本番で最高のパフォーマンスを披露できました。
今度からは私も「あたえられる」人ではなく、「あたえることができる」人になっていけるよう、常に自立の心を持って突き進みたいです。「エル・システマ」「みんなで歌うこと」を通して、たくさんのことを学べました。」 

   

また、今年度はオーケストラ&コーラスから合わせて5名が卒団を迎えました。その中の一人でバイオリンのあやなさんからは、「10年間活動して、このオケに入らなかったら経験できないことばかりを経験させてもらい、感謝しています。」と立派な挨拶がありました。
 

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ご来場くださったお客様も感激の声をアンケートで寄せてくださいました。

  「とても素晴らしく楽しいステージをありがとうございました。皆さんの努力とエネルギーに元気をいただきました。

   音楽ってやっぱりいいですね。」(60代女性)

  「初めて鑑賞しました。こんな素敵なオーケストラ活動を相馬で行っていたことに驚き、感動、誇りに思います。

   わが子が興味があるならぜひ参加させたいです。」(40代女性)

相馬で活動を始めて11年。「今年も楽しみにしていましたよ」と地域の皆様からいただく応援・ご支援の声が、子どもたちにとってもスタッフにとっても励みになり、今回も大きなステージをつくり上げることが出来ました。これからも地域の皆様とともに手を携えて、子どもたちに寄り添い、活動を続けて参ります。

改めまして、会場にお越しくださった皆様、ご支援、応援くださった皆様、保護者の皆様、ご指導くださった先生方、ありがとうございました。


主催:一般社団法人エル・システマジャパン

共催:相馬市、相馬市教育委員会

後援:福島民報社、福島民友新聞社、河北新報社、相馬商工会議所、テレビユー福島、福島テレビ、福島中央テレビ
福島放送、ラジオ福島

特別協賛:LVMH モエ ヘネシー・ルイ・ヴィトン・ジャパン株式会社、フォレストホーム株式会社

協力:オアシス楽器店

 

Photo FESJ/2023/Yasutaka Eida

※文中の学年は全て当時のものです。

​文 エル・システマジャパン 渡辺更・砂川巳奈歌・田添菜穂子

編集 田添菜穂子

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