第2部は「相馬子どもオーケストラ」による演奏。エル・システマジャパンの弦楽器教室に通う子どもたちに、普段から活動をサポートしてくださっている先生方やプロの音楽家、フェロー(エル・システマジャパンの音楽指導ボランティア)が加わり、総勢100名あまりが一斉にステージに上がりました。モーツァルト作曲の「ディヴェルティメントK.136番 ニ長調」は心が洗われるような透明感に満ちた演奏。「くるみ割り人形組曲 作品71a」はクリスマスイブの夜(そう、今夜です!)に少女クララがくるみ割り人形をプレゼントされたことから始まる冒険物語で、ハツカネズミの大群と戦ったり、金平糖の精による歓迎の宴があったりと、非常に多彩なストーリー展開です。「相馬子どもオーケストラ」の子どもたちは、ときに勇ましく、ときに優雅で、そしてときに夢のようにきらきらとしたクリスマスイブを浮かびあがらせ、聴衆を「くるみ割り人形」の世界にいざないました。
プログラムの最後を飾ったのは、「交響曲第9番 ホ短調 作品95『新世界より』」。第2楽章は「遠き山に日は落ちて」でよく知られているように哀愁に満ちていますが、全体としてはスケール感のある演奏が求められます。小学校3年生も演奏した『新世界』はダイナミックで、特に後半にかけては集中力の高さが伝わってきて圧巻でした。演奏後は相馬市民会館に「ブラボー」の声が飛び交い、地元のおばあさま方もスタンディングオべーションで感動を伝えるなど、まさに会場が一体となった『新世界』でした。
そして、聴衆の拍手はアンコールを求める手拍子へと変わり、その手拍子に合わせるように聞こえてきたのが、シャンシャンシャンという鈴の音。「相馬子どもオーケストラ」の子どもたちは、サンタクロースの帽子やトナカイの角をつけて、元気いっぱいの「そりすべり」を披露しました。クリスマスの雰囲気で盛りあがった客席は「そりすべり」の後も興奮がおさまらず、さらにもう1曲をアンコール。子どもたちが生き生きと演奏したのが、「ラデツキー行進曲」。タクトを振る浅岡先生(相馬子どもオーケストラ指揮者 / エル・システマジャパン音楽監督)の合図に合わせて、聴衆も手拍子を大きくしたり小さくしたりと客席参加型で、ひとりで来場されていた方々も楽しそうに手拍子をしていらっしゃいました。
クリスマスの聖なる夜の響きを伝え、そして誰にとっても楽しい集いである『エル・システマ子ども音楽祭 in 相馬』は2日目に続きます。