世界子ども音楽祭にこめた思い

4月に開催する世界子ども音楽祭。
 
世界8カ国からの子どもたち、エル・システマに共感するアーティストとの共演、
 
全員で演奏するベートーヴェンの交響曲第9番など、見どころがたくさんあります。
 

私は、4月に発表されたこの音楽祭を企画・運営するプロジェクトコーディネーターの募集を見て、
 
いてもたってもいられなくなり応募しました。
 
着任して以降、音楽祭に関わる様々な方々からお話を伺いながら、
 
「何のためにこの音楽祭があるのか?」ということを常に自分に問いかけています。
 

ベネズエラでエル・システマを創設されたホセ・アントニオ・アブレウ博士は、
 
「オーケストラは社会の縮図」という言葉を遺されましたが、
 
この音楽祭もまさにその通り、いえ、より広く世界が凝縮されたものと言えるでしょう。
 

 
国籍も言葉も障害の有無も、楽器や歌の習熟度もみんな違っていて、
 
むしろ共通するものを見つける方が難しいかもしれません。

子どもたちが揃ってからの練習の過程では、様々な違いが戸惑いや不安を生むこともあるでしょう。

「音楽を通してわかり合う」というのは、少し美しすぎる願いなのかもしれません。

しかし、仮に同じものが一つもなかったとしても、

よい音楽を一緒に追い求めることができ、そしてそこから美しいものが生まれうることこそが、

とても大切なことではないかと思うのです。

音楽祭の中心は、全員参加によるベートーヴェンの交響曲第9番。

彼が「歓喜の歌」にこめた世界の友愛へのメッセージは、

きっと子どもたちにも私たちにも力を与えてくれるでしょう。

これから6ヶ月間をかけて、舞台の子どもたちにも、客席のお客様にも、
 
そのメッセージが届くような場をつくりたいと思います。
 

 

(プロジェクトコーディネーター 八木澤)
 

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