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外部評価調査

評価報告会(2017年6月)

​レポート

評価報告会(2016年6月)

​レポート

エル・システマジャパンは設立当初の2013年度より、外部機関による評価を実施しています。
~「子どもたちの生きる力」を見える化~

外部評価を

実施する背景

調査報告書

最新の報告レポートは近日中にこちらに掲載予定です。

レポート

社会インパクト評価報告会 

〜音楽×教育×地域のチカラの協奏を促す〜

エル・システマジャパンの「社会インパクト評価報告会〜音楽×教育×地域のチカラの協奏を促す〜」が6月14日、慶應義塾大学三田キャンパスにて開催されました。

 第3者による外部評価は、エル・システマジャパンを支援してくださっている方々に対して説明責任を果たすと同時に、私たち自身が活動を見直し、よりよい効果を上げていくためのツールとして2013年度から実施してきたものです。公正で客観的な視点を大切にしており、2015度までの3年間は青山学院大学社会情報学部刈宿研究室が福島県相馬市の週末弦楽器教室に参加する子どもたちとその保護者を中心に、そして、2016年度は慶應義塾大学SFC研究所が第2の活動地域である岩手県大槌町を加え、また調査対象も行政・学校関係者、エル・システマジャパン職員に拡大してより広範囲にわたる活動評価を実施しました。今回の報告会ではその調査手法を明らかにするとともに、社会インパクト評価を実施する意義と結果、今後の展望が語られました。ご来場いただいた方々90名の内訳は民間セクターが35%、学校法人27%、非営利団体が25%、行政機関4%、その他(個人・フリーランス等)となっており、多岐にわたる分野の方々が関心を寄せられていることがうかがえました。

子どもたちの未来のために

報告会では、まず本評価の担当者である落合千華氏(慶應義塾大学SFC研究所上席所員)が、社会インパクト評価が必要とされる背景、評価のステップについて解説。そのなかでも、インタビューとワークショップを通じた価値及び変化の言語化、ロジックモデルの構築、アンケート分析を中心に紹介しました。そして結果として可視化された「期待度」と「実現度」をベースに関係者が議論し、今後の活動に活かしていくことが提案されました。

続いてのトークセッションでは、玉村雅敏氏(慶應義塾大学政策・メディア研究科教授)の進行で、菊川穣(エル・システマジャパン代表理事)、臺隆明(エル・システマジャパン大槌コーディネーター)、村田権一氏(相馬市立桜丘小学校校長)、落合氏がそれぞれの立場からの見識をコメント。相馬市と大槌町の現場からの声には、特に大きな関心が寄せられました。「東日本大震災で漁業、農業といった第一次産業が壊滅してしまったなか、子どもたちがどのように将来目標を設定できるかが課題だった。エル・システマジャパンの活動を通じて、子どもたちは音楽家、音楽の先生、ディレクター、市役所職員などに出会い、自分の将来を考えるきっかけを見出した。震災や津波によるPTSD対策だけではなく、キャリア教育になっている(村田氏)」「大槌町には震災を境に外からの文化が入ってきた。いろいろな支援が展開したが、それも次第に減り、住民は風化を実感している。子どもたちを取り巻く環境はまだまだ復興途上で、日々動いている。しかし、音楽は必ずいつもそこにある。エル・システマジャパンの活動は、子どもたちにとって『いつでも来ていい』という居場所になっている(臺)」など、先行きの見えないなか、いかに次世代の子どもたちが生きる環境を整えることに大人たちが腐心してきたかが伝えられました。

「みんなで」克服する意義

菊川は、エル・システマの創設者であるアブレウ博士が唱えた「Tocar y Luchar(奏でよ、そして困難を克服せよ)」には、「みんなで」という意味がこめられていると強調。サッカーやラグビーなど、出場できる選手数が決まっているスポーツなどとは異なり、年齢や学校や地域といった壁を超え、みんなが同じ条件で参加できるオーケストラや合唱の普遍性を説きました。また地方のなかでも格差が存在し、文化や芸術に触れる機会の限られている「地方のなかの地方」で活動を展開していく意義にも言及。活動を実施していくための資金調達は常に大きな課題ではあるものの、「これからも子どもたちのためにチャンスをつくっていきたい」と意気込みを語りました。

エル・システマジャパンはこの社会インパクト評価の結果ついて関係者間で議論を重ね、よりよい効果が活動地域で生まれるよう、あらゆる可能性を模索していきます。引き続き、皆さまにご支援いただけると幸いです。

 

​​当日使用した​スライドはこちらをクリックしてダウンロードしてください

(文:仲川美穂子 エル・システマジャパン広報官)

※クリックすると報告書がご覧いただけます

報告書

週末弦楽器教室に関する外部評価報告書

背景

  なぜ評価を実施するのか 

 私たちは、エル・システマ式音楽教育により、「子どもたちの生きる力」がどのような成果として表れているのかを、形質的なデータに基づいて説明していく必要があると考えているからです。始まった当初から、どのような効果があるのか理解するためにも、第三者の視点から評価を実施することが重要だと考えました。

 エル・システマ式音楽教育には、ピア・ラーニング(子どもたち同士の学び合い、教え合い)という根幹があります。ベネズエラをはじめ、世界各国でエル・システマが注目をされているのは、合奏を通した学び合いが社会で生き抜いていける人材育成に非常に有益だと理解されているからです。

 ピア・ラーニングが日本の子どもたちのコミュニケーション、チームワーク等のライフスキル(生きる力)の発展にどのように繋がっていくのか。

 日本での取り組みもきちんと外部の目で検証し、今後もより大きなインパクトを目指して、評価を実践、活動に生かしていきます。

 どんな評価を実施しているのか 

 2013年9月から継続的に、2015年度まで丸3年間、青山学院大学の苅宿俊文教授にご協力いただき、評価を実施してまいりました。ワークショップ手法の日本における第一人者であり、元教員としての豊富な経験を持つ苅宿教授。ほぼ毎週のように調査員チームが相馬を訪れ、子ども、保護者を対象としたアンケート、そして、参与観察、インタビューを通した包括的な検証作業に基づき、毎年3月に報告書が完成しています。

 子どもの成長、そして、地域への社会的インパクトを評価していくためには、継続が重要です。当初は限られた予算の中スタートした評価も、相馬市・文化庁から重要性へのご理解を頂き、2014年からは評価のための予算を頂き、継続することができております。

 報告書は、学校外教育に関する全国世帯調査結果との比較(ベネッセ・文科省の共同実施アンケート)とインタビューやエッセイの部分から成り、相馬での取組に関して広く分析しています。

 

 アンケートの比較結果では、子どもオーケストラに参加している子は父親、母親と話す時間(特に友だちについて)が長い等、子どもたちだけでなく、保護者や地域と共に作り上げる相馬の取組が反映されている結果と言えるでしょう。2013~2015年度までの経年の変化を捉えると興味深く、「自信」や友人・家族との関係で肯定的な回答が増加していることがわかっています。

 2015年度の評価報告書では、代表の菊川および、音楽監督の浅岡先生と苅宿先生の対談が掲載され、一言では言い表せないエル・システマジャパンの目指すビジョン・ミッション、音楽を通した深い哲学を感じ取ることができる内容になっています。

  今後、どのように展開するのか 

 とにもかくにも、子どもたちの成長、地域の社会的インパクトを真に評価するためには、長期的な視点が必要です。我々は今後も長期的に評価を実施していく所存です。4年前、はじめてヴァイオリンに触った子どもたちの高校卒業や、エル・システマジャパン卒業、また、その先、もしエル・システマジャパンとの関わりがあるのであれば、その形もきちんと見届け、目に見える形にしていきたい想いがあります。

 2016年度からは、相馬市や大槌町が目指す地域像に対して、エル・システマジャパンがどのように社会的インパクトを出しているのか、出していくのか、より包括的に評価を実施しています。ベネズエラからエル・システマを作り上げたアブレウ博士の言う「そこにあるけれど形になっていない」ものが、社会的インパクトをどのように出しているのか。日本において官民連携の政策としての側面を持つエル・システマジャパンの活動を、慶應義塾大学SFC研究所に委託して評価を実施中です。子どもたちの成長にとどまらない、地方自治体として目指すより大きなインパクトを見える化し、より良い活動を展開していく所存です。

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