• Yuriko Yagisawa

子どもたちを支えるアーティストたち − ③エディクソン・ルイスさん

最終更新: 1月6日

南米ベネズエラで始まったエル・システマは、今や世界的なムーブメントとして70を超える国々や地域に広まりました。

世界子ども音楽祭では、エル・システマの理念を元にプログラムを行なっている様々な国々のうち8カ国を招きますが、

「エル・システマ」の名前がこれほどまでに全世界的に広まった理由の一つとして、

国際的に高い評価を受けている若手音楽家を多数輩出したことがあげられます。

本日ご紹介したいのは、エル・システマが生んだ最初のスターとも言える、

エディクソン・ルイスさんです。

11歳の時にコントラバスを学びはじめ、15歳の時に

アメリカのインディアナポリスで開かれた国際コンクールで優勝。

その後ベルリンフィルが運営する若手音楽家の養成機関であるアカデミーに留学し、

ベルリンフィル史上最年少となる17歳で採用されたということが注目されています。

これまでザルツブルグ音楽祭やルツェルン音楽祭など名だたる音楽祭をはじめ、

ソロ奏者として世界の様々な都市にて著名なオーケストラと共演しています。

日本には、2013年『エル・システマ・フェスティバル2013 in Tokyo』にて

コントラバス協奏曲を披露してくださった他、

2017年10月に『エル・システマ・フェスティバル2017』で再び出演。

室内楽コンサートでそのコントラバスの魅力を十分に聴かせてくださいました。


ⓒHikaru.☆

さらに翌日のステージでは、井上道義さんによる指揮のもと、

エル・システマに共感したアマチュア音楽家たちによる『フェローオーケストラ』とともに、

クーセヴィツキーのコンチェルトを披露。

フィナーレの児童合唱と管弦楽のための組曲『遠足』(山本直純作曲)では、

主役となった相馬子どもコーラスとの共演を果たしました。


その圧倒的な技術力と表現力、そして音楽への愛情にあふれる演奏に、

多くの人が心を奪われたフェスティバルだったのではないかと思います。



その興奮もさめやらぬ2017年12月には、日本ツアーで再来日。

全国を回り、菊池洋子さんとのデュオリサイタルを開催されましたが、

その中の一つ、福島県のいわきアリオスのランチタイムコンサートでは、

「相馬子どもオーケストラ」の代表メンバー25人が、サプライズ企画として参加。

アンコールで、ルイスさんと菊池さんと一緒に、

バッハの「G線上のアリア」を披露させていただきました。


ランチタイムコンサートアンコールのリハーサルの様子

実は、2016年3月に「相馬子どもオーケストラ」がベルリンに渡航し、

お世話になった皆様に感謝の意をお伝えする公演を行なった際は、

ルイスさんはツアー中でお会いすることが叶いませんでした。

しかし、共演させていただいたベルリンフィルの皆様より、

相馬の子どもたちのことを聞いていらしたようで、このリサイタルでの共演を

本当に楽しみにしてくださっていました。

子どもたちの練習をきめ細やかに見てくださったり、

一人一人と目線を合わせながらお話し、握手やサインをしてくださるルイスさんは、

子どもたちにとって尊敬すべき忘れられない音楽家の一人となったのではないかと思います。



実は、10月に発生した台風による相馬市の水害について知ったルイスさんから、相馬の子どもたちに向けて、とメッセージをいただきました。

ルイスさんへの感謝と敬意の気持ちを込めて、この場をお借りしてご紹介いたします。


「戦うことは、困難に打ち勝ち、逆境を乗り越えることだ

戦うことは、呆然とすることでも、自暴自棄になることでもない

戦うことは、謙虚さをもって克服し、誇りをよりよい善のために捧げることだ

戦うことは、たとえ今がつらくても未来をつくることだ

戦うことは、自分自身を信じ、師を信じ、そのやる気の一つ一つを信じることだ

戦うことは、目標を達成するまで休まないことだ

戦うことは、無駄な時間を嫌い、確実に乗り越えることだ

奏でることはその戦いを実践することだ

 ーホセ・アントニオ・アブレウ」


全員で一枚。笑顔がこぼれます。


日本とベネズエラ。社会が抱えている問題や背景は違えど、エル・システマのモットーである"Tocar y Luchar(奏でよ、そして、戦え)"の通り、子どもたちは音楽を通してその困難な環境を乗り越えようとしています。

このメッセージを胸に刻み、これまで誠実に、謙虚に音楽と向き合ってこられたルイスさんだからこそ、その演奏には多くの方が心を動かされるのではないでしょうか。

世界子ども音楽祭では、2日間にわたりルイスさんの音楽をお楽しみいただくことができます。

1日目、4月3日の室内楽ステージでは、2017年のコンサートで共演したバイオリンの辻彩奈さん、ビオラの田原綾子さん、ピアノの萩原麻未さんらと再度の共演を果たします。 また、同じくエル・システマ出身のバイオリンのアレクシス・カルデナスさんやトランペットのパーチョ・フローレスさんとも共演され、そのコントラバスの音色を存分にお楽しみいただけるでしょう。また、2日目、4月4日のオーケストラステージでは、もちろん子どもたちと一緒に第9のフィナーレを彩ってくださいます!

エル・システマでつながったアーティストや子どもたちが生み出す音楽の世界を、どうぞお楽しみください。

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