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子どもたちを支えるアーティストたち − ④リチャード・エレジーノさん

去る12月15日、大槌では毎年恒例のクリスマスコンサートが開かれました。クリスマスの衣装に身を包んだ子どもたちがカノンやベートーヴェンのよろこびの歌などの曲を披露する中に、一人本物のサンタさんのような姿が見えます。

そう、この方が、本日ご紹介するリチャード・エレジーノさんです。




ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団でもベテランのビオラ奏者でおられるリチャードさん。

軍人だったアメリカ人のお父様と洋裁店を営んでいた日本人のお母様のあいだに東京で生まれ、16歳ではじめてアメリカの地を踏みました。

その後、ルイ・キーヴマン氏に師事し、22歳から映画やテレビ番組でビオラ演奏の仕事を始めます。当初は順風満帆でしたが、シンセサイザーの台頭により、アコースティック楽器には次第に補佐的な役割しか求められなくなりました。ビオラの可能性をもっと追求したかったリチャードさんは悩みました。


「楽器を使って、何を考えるのか。何を演奏するのか。何をしなければならないのか」そう悩んだ挙句、猛練習を積み、ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団のオーディションに見事合格。それから長年にわたりロサンゼルス・フィルのビオラ奏者として活躍していらっしゃいます。


故郷である日本には毎年来日され、地元の小中学校や特別支援学校、病院などでも慰問演奏をされてきたリチャードさん。


エル・システマに出会ったのは、数年前にベネズエラを訪れたときです。

リハーサル室に入った途端、子どもたちが演奏しながら発するエネルギーに涙がこぼれたそうです。


貧困という壁が大きく立ちはだかるベネズエラでは、エル・システマの活動に参加する子どもたちの多くにとって、演奏することが未来への希望なのです。「一生懸命がんばって、いつか、ドゥダメルのようになりたい」そんな将来へかける子どもたちの想いがひしひしと伝わってきたそうです。

その後、今回の世界子ども音楽祭で来日することになるロサンゼルス・ユース・オーケストラ(YOLA)の指導にもたずさわるようになりました。




エル・システマジャパンの設立以降は、YOLAとのご縁が元となり2014年12月に初めて大槌にお越しいただきました。それ以来、相馬の小学校の鑑賞教室での演奏や相馬・大槌・駒ヶ根と各地のオーケストラに度々ご来訪いただき、子どもたち一人一人に特別レッスンをしてくださいます。


少々コワモテのリチャードさんに、子どもたちも緊張した姿を見せることもありますが、それも一瞬のこと。


肩の力を抜いて弾く大切さ。お互いを聴き合い、どうしたらアンサンブルができるのか。


ご自身のご経験や、これまでの子どもたちへの指導経験から生み出される丁寧なアドバイスを真剣に聞きながら、集中して練習に臨みます。



特に大槌には毎年のようにお越しいただき、子どもたちへの指導や交流、クリスマスコンサートなど、大槌の子どもたちにとっては欠かせない存在になっています。




本番の舞台にあがって、子どもたちがとっても緊張してしまったとしても、同じ舞台にリチャードさんを見つけて、きっとほっとすることでしょう。


4月にまたお会いできることを、子どもたちも楽しみにしています。

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