新年のご挨拶を申し上げます。日頃より温かいご支援をありがとうございます。 2016年も皆様にご報告したい出来事が沢山あった1年でした。
2月に開催した「第2回エル・システマ子ども音楽祭」では、郷土の誇りである相馬民謡のコーラス、オーケストラ編曲版を地元の人々に披露。震災からちょうど5年という節目の日には、相馬子どもオーケストラの代表メンバー37人が、エル・システマジャパン設立の契機であるベルリンフィルハーモニー管弦楽団の有志メンバーと、フィルハーモニーホールでベートーヴェン第5交響曲を演奏し、これまで暖かく応援下さっているドイツの皆様に謝意を伝えることができました。5月には、アンゴラのカポソカ音楽学院オーケストラと相馬子どもオケが、 相馬と東京で公演を行い、相馬では、総勢120人でパッヘルベルのカノンを奏でました。また、集大成であるクリスマスの「第3回エル・システマ子ども音楽祭」。9~83歳が参加した総勢200人のシベリウス「フィンランディア」、ヘンデル「ハレルヤ」での大合唱、大合奏に、相馬市民会館にいたすべての人 が美しくも強い音楽に魅了された至福の時間でした。
ゲストとして数多くの地元行事に参加して経験を積んだ大槌の子どもたちも、オーケストラとして初 めてのミニコンサートを、いつもお世話になっている、地元沢山地区の皆様のために集会所でアットホームに実施。地域の大人も混ざった「大きな古時 計」の合奏では割れんばかりの拍手を受けました。
どのシーンでも共通していたのが、子どもたちのはにかみながらも誇らしげな顔と、周りで見守る支える大人たちの笑顔。まさに、これこそが、音楽で子どもたちの生きる力を育み、地域を繋いでいく、というエル・システマジャパンの理想の具現化だったと思っております。
憎悪と偏見に基づいた様々な暴力の ニュースに溢れた2016年。だからこそ、美しい音楽を仲間とともに奏でるという、シンプルですが力強いエル・システマの理念の追求を、相馬、大槌に続く、 3箇所目の拠点の整備も含めて、さらに図って行きたいと考えています。