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エル・システマの創設者、アブレウ博士が亡くなられました

エル・システマの創設者、ホセ・アントニオ・アブレウ博士が昨日亡くなられました。心よりお悔やみ申し上げます。

代表の菊川は、2012年にスコットランド・スターリングでのロンドン五輪文化芸術プログラム、そして、2013年のユース・オーケストラ・オブ・カラカスの来日公演時(写真)にお目にかかる機会に恵まれました。特に、2012年の相馬での活動を立ち上げた直後でのスコットランドで、博士の言葉が心に強く残っています。

「ご自身の苦難にも関わらず、相馬でのエル・システマプロジェクトでバイオリンの指導をされている現場の先生に、私から感謝の気持ちを伝えて欲しい」

原賀真紀子さん名訳がある、トリシア・タンストールさん著の「Changing Lives」。象徴的な文章が、なぜエル・システマを始めようと思ったのかというところ。ご自身の子ども時代に出会ったピアノの先生の話。

「広い部屋に7台のピアノを並べて、皆でモーツァルトの交響曲41番「ジュピター」を合奏をさせてくれた。いつも、お互いのため、誰かのため演奏していた。とても楽しい時間だった。急かし、厳しさを求める先生は、私の周りには居なかった」

音を仲間と奏でることは、ただそれだけで楽しい。自分が奏でられない音を誰かが奏で、自分は、違う音を奏でる。誰もが必要とされていて、誰かのために存在している。

多くの問題が山積しているベネスエラ。そこで活動をするエル・システマも、色々と、問題も抱えているとは思います。ただ、この皆で音楽を奏でることは、ただ楽しい、というシンプルな理念。これは、誰もが納得することだと思います。

アブレウ博士が、このシンプルな事実を世界中に気付かせてくれました。ただ、それだけで、人類は彼に多くを負うているのではないでしょうか。

生前は、睡眠時間4時間と言われるほど、毎日猛烈に働いておられたアブレウ博士。あの世に行ったら、ゆっくり休めるから、といのが口癖だったとか。どうぞ安らかにお休みください。

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