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作曲教室@霧島国際音楽祭!

今年度最初となるエル・システマ作曲教室(監修:藤倉大)は、7月30日(日)午前に、霧島国際音楽祭の特別企画として、みやまコンセール小ホール(鹿児島県霧島市)に14人の子どもたちが集まり、保護者の皆さんや、音楽祭に参加する様々な関係者が見守る中、無事行われました。


昨年4年ぶりに再開した作曲教室が、44回もの長い歴史を持つ霧島国際音楽祭にて開催されるという特別なきっかけは、藤倉さんが、鹿児島でお茶の栽培をしていた祖父母の思い出のために書いた「グリーンティー・コンチェルト」の世界初演に合わせて音楽祭に参加されることになったことでした。


ただ、これまでの作曲教室に参加されているアーティストの方は、今回の音楽祭には出られていないので、どうしましょうか?となった時に、藤倉さんとも様々なコラボをされており、以前から、この作曲教室を是非ともやりたいとおっしゃってくれていた、フランス在住のクラリネット奏者の吉田誠さんから、このために一時帰国しますとのオファーが…。


ということで、作品の良しあしを判断しない、作曲することを一切強制しない、言葉を使っても良いけど、楽譜で表現すること、という作曲教室の3つのルールの説明後始まった、クラリネットがテーマの教室。気分が乗らなかったら、自然溢れる霧島高原で遊んでいいよ、ということを強調したのですが、これも、贅沢な環境だけど無料で誰でも参加できる、藤倉さん曰く、まさにエル・システマというこの教室ならではです。


いつも通り、まずは、楽譜を書く前に、藤倉さんと奏者(今回は、吉田誠さん)から、約45分のレクチャーを実施。吉田さんがクラリネットを組み立てながら、どうやったら音ができるのか、音質や音域はどうなっているのかを、参加している子どもたちに詳しく説明。


藤倉さんがいつも言われているのは、「この楽器はこんな音や、こんな奏法がメインだ」という固定概念を捨てること。「こんな音も出るよね」とか、「この奏法はこう言って書けば良いね」と、テンポ良い、吉田さんとの軽妙な掛け合いが、とても楽しく、好奇心をそそられます。循環呼吸とか、誰でもできるわけないことを、無茶ぶりされるところも、いつも通りでしたが、また、それに軽やかに対応される吉田さんも、さすがでした。


レクチャーのあとは、いよいよ作曲。制作時間は約30分間。最初の時間は、固まってしまう子も多く、保護者も心配、先生方も不安。うちの子どもは、楽譜自体、よくわからないから、音名を文字で記述でしても良いかとの質問もありましたが、藤倉さんは、全然大丈夫ですよと。


そんなやり取りがありながらも、藤倉さんが説明のために書いたホワイトボードを参考にしながら、子どもたちは、マルチフォニックスや、トレモロが溢れる楽譜を、見よう見真似でどんどんと書いて行きます。


吉田さんが、作成中の楽譜を見て、まだ途中だけで、試してみても良い?と聞き、実際に書いた楽譜が音になる瞬間は、皆、小さな作曲家たちの目が輝き、誇らし気に、再度、楽譜に向かい集中します。


演奏タイムになり、この世に一つしかない譜面に、吉田さんが命を吹き込んでの世界初演が次々と展開。「どう?こんなかんじ?テンポは大丈夫」と吉田さんが、作者の子どもに訊ねると、「もうちょっと早く」とはにかみながらお願いする子どももいて、藤倉さん曰く、現実の作曲家と演奏者のやり取り、そのものとか…。


当然、筆が進まなく書けない子もいますし、書けていても、作品として、自分に満足のいくものが時間内でできないと思って悩んでしまう子もいます。


藤倉さんも毎回強調されていますが、自分で満足していないものなんて、人に見せる必要は全くないから、気にしないでと。自分も子ども時代、自分の作品を人に見せるなんて嫌だったと。そういうこともあり、沢山の人がいる前でなく、藤倉さんと吉田さんの前だけで演奏をするのでも良いよ、と伝えたら、2人の子が残ってやって来てくれました。1人は、保護者の方だけで来られたので、ちゃんと、作ったお子さんが納得しているならと説明し、家族皆で再度戻ってきて、最終的には、子どもも家族も皆、ハッピーな様子でした。


こうしたこともあり、今回の作曲教室で感じたことは、一人一人の自由を保障することが、本当に大切なのだということです。子どもたちや保護者からの感想でも、自由なところがよかった、楽しかった、新鮮な感動があったとのコメントが複数ありました。


もちろん、この作曲教室で、音楽や作曲の魅力を再認識し、さらに深く勉強したいという子が出てきたら素敵ですが、学校や家庭で日々忙しさに追われている子どもたちが、ああ、自由で楽しい場だったなと、心に留めてもらえたら嬉しいです。作った作品を、世界的な演奏家に演奏してもらえる機会があるのに、いや、そうでない、と己で判断し、発表しないという自己決定の自由が、作曲をすることと同じぐらい大切なのだと思います。


監修・講師の作曲家・藤倉大さん、クラリネット奏者の吉田誠さん、参加してくださった子どもの皆さん、ありがとうございました。

そして、緑溢れる素晴らしい環境での作曲教室を実現して下さった、霧島国際音楽祭の事務局、特に、ジェスク音楽文化振興会のスタッフやボランティアの皆様には、心より感謝申し上げます。



作曲教室も指定頂けるエル・システマジャパンのreadyforマンスリーサポートプログラムはこちらから。どうぞよろしくお願い致します! https://readyfor.jp/projects/fesjmonthly

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