『第54回スズキ・メソード グランドコンサート』
〜3.11.東北の復興を音楽で伝えよう〜
(FESJ/2018/Yutaka Kikugawa)
「相馬子どもオーケストラ」と「大槌子どもオーケストラ」の子どもたちが、東京の両国国技館にて開催された『第54回スズキ・メソード グランドコンサート』で演奏の機会をいただきました。実は前回にあたる『第53回グランドコンサート』は2011年に開催予定でしたが、東日本大震災の発生により中止になりました。
それから7年−—。東北は今、復興の道を歩んでいます。その姿を音楽で体現しているエル・システマジャパンの子どもたちを、今回はスズキ・メソードさんが特別にお招きくださったのです。「For the Happiness of All Children ~すべての子どもに 幸あれ~」をテーマにしたこのコンサートには、天皇皇后両陛下と高円宮妃久子殿下もご臨席に。フィナーレでは2500人の子どもが一緒に「キラキラ星変奏曲」を演奏し、中央のステージを360度ぐるりと囲む客席から大きな拍手が送られました。
僕たちは音楽の力で前へ
「“被災地の子どもオーケストラ”と紹介されることが多いけれど、心の傷とか考えるよりも、音楽の力で前へ進もうとしている」そう語るのは、「相馬子どもオーケストラ」の隆行くん(高1・バイオリン)。6年前にはじめて実施した弦楽器体験教室に参加したときは、まだあどけない少年でしたが、今では指揮もつとめられる頼もしいメンバーに成長。「音楽は抽象度が高い。こちらから発信することもあるけれど、解釈は聴き手に委ねられている。自分たちの音楽が物理的な直接支援にはならなくても、心の支えになれたら」と音楽にかける想いを伝えます。
『第54回スズキ・メソード グランドコンサート』では、相馬と大槌の子どもたちはバッハの「G線上のアリア」も演奏。東日本震災で亡くなられた方たちと先日急逝したアブレウ博士への追悼の意を込めました。その一方で、2500人にのぼるスズキ・メソードの子どもたちとの共演は、エル・システマで学んできた子どもたちにとって大きな刺激となりました。しかも大相撲でかの有名な両国国技館です。普段は力士たちが四股を踏んで真剣勝負に臨む場所で、たくさんの新しい仲間とともに音楽をつくりあげた経験は、子どもたちの前進する力にきっと繋がることと信じています。
(FESJ/2018/Mihoko Nakagawa)
このような貴重な機会をくださったスズキ・メソードおよび関係者の皆さまに心より御礼申しあげます。
(文:仲川美穂子 エル・システマジャパン広報官)
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出番を待つ子どもたち
上級生を中心に、演奏する場所を確認しました
ハードスケジュールでも元気いっぱいの朝食風景
出番を待つ子どもたち
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エル・システマジャパンとスズキメソードの共演について