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日本の子どもたち ②駒ヶ根子どもオーケストラ

エル・システマジャパンは、2011年の東日本大震災を受け、被災地の子どもたちが「音楽を通して生きる力を育む」ことを目指して設立されました。


相馬や大槌でのオーケストラやコーラスを始める中で、

子どもたちが音楽を通じて成長し、自分たちのみならず周りの大人や地域を巻き込みながら活き活きと変わっていく姿を目の当たりにして、

この音楽の力を必要としているのは被災地に限らないのでは…という思いにいたりました。

特に、地方の中でもさらに都市部から離れた地域では、文化芸術に触れたり、

自らが芸術を楽しむ機会はどうしても限られてしまうこともわかりました。

そのような背景を受けて始まったのが「駒ヶ根子どもオーケストラ」の取り組みです。

長野県駒ヶ根市は、JICA青年海外協力隊の訓練所があるまちとして、世界に開かれたまちづくりに取り組んできただけでなく、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」では、エル・システマ発祥の地でもあるベネズエラのホストタウンにも選出されています。

このようなご縁が元となり、長野県駒ヶ根市と協力協定を結び、2017年、駒ヶ根市でも「音楽を通じて生きる力をはぐくむ事業」が始まりました。

長野県はスズキメソードの発祥の地ではありますが、駒ヶ根は長野市や松本市のように弦楽器の文化が地域の文化資産としてあったわけではありません。

そんな中でも、3年目を迎えた駒ヶ根子どもオーケストラには年々参加する子どもたちが増え、今では100名を超える子どもたちが弦楽器に親しんでいます。



先日12月7日に開催された駒ヶ根子ども音楽祭では、それぞれが着実に成長した姿を披露してくれました。最初の年から参加している3年目の子どもたちは、アイネ・クライネ・ナハトムジークの第1楽章に挑戦するほどに。


3年の月日を重ねる中で、相馬での練習に参加したり、2018年のエル・システマ・ガラ・コンサートにて東京に集まって、相馬や大槌のお兄さんお姉さんと一緒に演奏する機会はこれまでもありました。また、お隣の伊那市の伊那フィルハーモニー交響楽団さんのコンサートに出演し、フルオーケストラの中で演奏する機会をいただいたこともあります。


しかし、子どもたちが今回臨むのは、なんといってもベートーヴェンの交響曲第9番。もちろん、通常の譜面通りに弾くのはまだ早いため、駒ヶ根の子どもたちは第4楽章のみ、かつ簡単な譜面での参加ですが、子どもたちにとっては、25分もの曲を300人を超えるオーケストラや合唱とともに演奏することは未知の世界です。

地理的な問題で、なかなか管楽器や全ての弦楽器のパートが揃った合奏練習ができない中、普段駒ヶ根で行う練習と全く異なる大舞台で第9を演奏することは、子どもたちにとっても私たちにとっても大きな挑戦です。

また、第9はまだ少し早いけれど、弦楽器全員でのカノンに挑戦する子どもたちも、今回東京にやってきます。

1年越しに憧れてきた曲、カノンの楽譜をもらった子どもは早速張り切って練習していると保護者の方が教えてくれました。 世界子ども音楽祭という目標に向けて努力を続け、世界や日本の子どもたちと同じ舞台に乗ることできっとたくさんのことを感じ取ってくれるに違いありません。

駒ヶ根子ども音楽祭を終えて一息ついた子どもたち。1月からは心機一転、また次の目標に向けて一歩ずつ進んでいきます。

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