​「世界のエル・システマ」(ABC順)

Angola(アンゴラ) Kaposoka music shool

2008年に設立されたカポソカ音楽学校では貧困、無学文盲、社会的疎外や除外をオーケストラ演奏を通して減らすことを目指している青少年オーケストラと合唱団のプログラムです。対象としているのはサンバ(ルアンダ)地域の公立学校及びカポスカ音楽学校に通っている5〜18歳の生徒たちです。67人の生徒から始まり、現在は620人近くの生徒がカポソカに参加しています。増えた生徒をサポートする教員が不足しているため、積極的に活動している生徒は120人のみになりますが、規模的にはアフリカ最大の青少年オーケストラです。

Argentine(アルゼンチン) Fundación Sistema de Orquestas Infantiles y Juveniles de Argentina

非営利団体SOIJAR財団は、アルゼンチンの青少年オーケストラの発展を促進しています。6,000人超の困難な立場にある子どもたちのために、社会へのインクルージョンと統合を支持することを最大のミッションとしてます。カウンセリングや研修を通じて約2万人の人々を支援し、更に300人の教師と演奏家もサポートしています。SOIJARで最も知られているオーケストラ2団はアルゼンチン青年オーケストラ、地中海青少年オーケストラです。

アルゼンチンではSOIJARの他、指揮者マリオ・ベンゼクリー氏により新たな取り組みを始めたホゼ・デ・サン・マルティン国立青少年オーケストラも、子どもたちの社会へのインクルージョンを支持しています。こちらはアルゼンチンの文化平等計画の一環として、国家文化大臣からの支援を得て活動しています。

Australia(オーストラリア) Symphony for Life

Symphony for Lifeは、社会経済的・文化的背景に関係なく全ての子どもたちが音楽教育にアクセスできるべきという理念を掲げ、プログラムを運営しています。ここでは2つのオーケストラプログラムがあり、1つは、Freedman Youth Orchestra という西シドニーで最初の青少年オーケストラです。8~12歳向けのオーケストラで、様々な地域に渡って音楽教育を届けています。2つ目は、Paramatta West Children’s Orchestraという5~8歳の初心者向けのオーケストラです。子どもたちはまずここで楽器を演奏できることの驚きや楽しさを知り、楽器が上達したらFreedman Youth Orchestraへとステップアップしていきます。また、オーケストラ以外のプログラムも不定期で行われています。1つはAuburn Youth Centre ‘Everyone Sings’projectという作曲プログラムで、これは、楽器と音楽を用いて子どもたちが自由にオリジナルの音楽を作るプログラムになっています。また、Holroyd Youth Ensemblesという合唱プログラムもあります。このプログラムは過去にある高校で1年間実施され、15か国から25人以上の生徒が参加しました。昨今のコロナウイルスの影響にも負けず、Symphony for Lifeはバーチャルコンサートを行うなどして音楽教育を提供し続けています。

Austria(オーストリア) Superar

SUPERARは、世界的に有名なウィーン・コンツェルト・ハウス、ウィーン少年合唱団とカリタス・ウィーンのパートナーシップから誕生した、国内外の青少年に高い質のオーケストラとコーラス教育を無償で提供するプログラムです。2009年に設立されて以来、ヨーロッパ7か国の拠点で3,000人ほどの青少年が参加しており、ボスニア、ルーマニア、スロバキア、スイス、リヒテンシュタイン等の子どもたちが国境を越えて音楽を奏でています。SUPERARはオーストリアに限らずシステマ・ヨーロッパの一員としても活動しています。

Belgium(ベルギー) Remua Asbl

エル・システマ・ベルギーは2009年にReMuA(Réseau de Musiciens-intervenants in Ateliers)の責任者サラ・ゴールドファーブ氏により設立されました。設立以来、すべての人、特に子どもたちにとって音楽学習が様々なスキルや人格の発達に不可欠なツールであるという理念のもと、20以上の音楽教育プロジェクトが行われています。演奏活動としては、ブリュッセルとリエージュでオーケストラと合唱団の活動があり、1,000人以上の子どもが参加しています。また、リズムや音色、ソルフェージュといった音楽学習の基礎となるワークショップも頻繁に開催されています。2021年11月には、ブリュッセルの青年オーケストラがストラヴィンスキーの楽曲を中心としたコンサートを行い、大成功をおさめたようです。

Brazill(ブラジル)

Ação Social pela Música do Brazil

ASMBは音楽を通して脆弱な状況に置かれた子どもたちに対し音楽を学べる環境を提供するコミュニティとして活動しています。この団体の歴史は、エル・システマの創設者である故アントニオ・アブレウ博士の友人で、南米でも著名な指揮者であったデイヴィド・マチャド氏の創設により始まりました。しかし、彼の突然の逝去を受けて、その遺志を引き継いだフィオレラ・ソラレス夫人がここまで大きな組織に育ててきました。創 設から約25年が経つ今では、1人の市民として自立し成長してゆく子どもたちのため、リオ・デ・ジャネイロをはじめとした各都市で音楽を学べる12の施設をもち、公的な幼稚園や学校とのパートナーシップのもと活動を行なっています。さらに4,000人近くの子どもたちに音楽を届けているほど、ブラジルの社会にとって大切な役割を担っています。

Núcleos Estaduais de Orquestras Juvenis e Infantis da Bahia

2007年に設立されたネオジバは、NGOアサオ・ソシアル・ペラ・ムジカが運営するバイーア州の3都市(サルヴァドール、トランコゾ、バイーアの南部)に音楽教育センターを持つ教育プログラムです。バイーア州の政府及びカストロ・アルベス劇団からの支持を得て、90人の子どもたちが参加する2de Julho青少年オーケストラと、80人が参加するカストロ・アルベス・オーケストラの2団を形成し、毎日練習を行なっています。7〜15歳の子どもを対象としたエクスペリメンタル・ティーチング・オーケストラと合唱団も形成しました。リオデジャネイロのスラム街ドナ・マルタ近辺にも、犯罪等を鎮圧するために音楽教育センターを設置しました。現在は約1,900人の子どもたちがプログラムへ参加しており、サンパウロ州南部のパウリニア市のCidadão MusicalプロジェクトやInstituto Bacarelliと、全国にポジティブな影響を与えています。

Canada(カナダ) Saint James Music Academy

セントジェームス音楽アカデミー(SJMA)は、子どもたちに多くのチャンスと希望を与えたいと決心した一人の思いから始まりました。経済不況の影響により、バンクーバー都心の公立学校では音楽教育が継続困難な状況に追い込まれてしまいました。その時、キャサリン・ウォーカー氏が子どもたちには引き続き質の良い音楽教育を受ける権利があると信じ、2年間こつこつと協力者とサポーターを集め、2007年9月にSJMAを設立しました。ウォーカー氏が設立した音楽アカデミーの趣旨は、音楽教育のみではなく、子どもたちが日々社会で直面しているネガティブな要素に立ち向かう力を身につけるための教育でもあります。SJMAは45人の生徒から始まり、年々と拡大し、現在は170人がSJMAに参加し、更に250人がSJMAのアウトリーチプログラムに参加しています。

Chile(チリ) FOJI

チリ各州の協力によって2011年に非営利団体として設立された青少年オーケストラ財団FOJI。毎年、12,000人の子どもたちがオーケストラのプログラムに参加し、190地域で年間3,000回ものコンサートを開催し、100万人以上のお客様に音楽を届けています。FOJIでは奨学金プログラムも充実しており、この奨学金によって低所得層世帯の子どもたち1,500人がオーケストラのメンバーになることが可能になり、将来的に優れた音楽家になれるチャンスを与えています。この奨学金は、毎年国内で開催される厳しい選考プロセスを通じて選ばれた子どもたちのみに授与されます。FOJIの活動は年々拡大していて、2001年にはわずか72人の青少年オーケストラだったところ、2010年には385人になりました。現在は、アリカ(最北端の都市)からプンタ・アレーナス(最南端の都市)と、全国に450団のオーケストラを通してFOJIは活動しています。

Colombia(コロンビア) El Sistema Colombia

1991年に設立されたバテゥタ財団は幼少期からの音楽教育とオーケストラ練習を国内で促進しています。95地域及び都市の子どもたち約4万人以上が参加しており、約半数は武力紛争地域に住んでいる子どもたちです。コロンビアとベネズエラの国境に音楽教育センターを設置したり、青少年オーケストラプログラムのトカール・イ・ルチャール(Tochar y Luchar)をボサ、パティオ・ボニト、シュダド・ボリバルからの子どもたち600人ほどに無償で音楽教育を提供したり、様々な活動をしています。コロンビアではバテゥタ財団の他、ボゴタ交響楽団も社会貢献プログラムを行なっており、8,000人の子どもたちに音楽指導を提供しています。このプログラムはシモン・ボリバル音楽財団と協定を結んでいるため、コロンビアの教師はベネズエラの教師からの支援を受けることが可能になっています。

Croatia(クロアチア) El Sistema Croatia

カルメン・ヒティ氏、リカルド・ルケ氏、メルカス・ダヴォル氏とイヴァナ・コツェリ氏、この4人の熱い想いによりエル・システマ・クロアチアは2011年12月19日に設立されました。2011年の上半期にボリヴィア・ボットメ氏と打ち合わせをし、その翌年にはアブレウ氏とも会い、猛スピードでザブレブ、レケニク、イストリアの3都市にオーケストラを形成し、130人の生徒と18人の教師で始まりました。クロアチアの子どもたちや若者に音楽を通して人間性、社会性、感情及び精神的な成長、知的発達を促進することをミッションとしており、10年後にはクロアチアとその周辺国で、エル・システマに基づいて設立された20ほどのオーケストラに約2,000人の子どもたちが参加することを目標としています。

England(イングランド) Sistema England

システマ・イングランドはジュリアン・ロイド・ウェバー氏により設立された慈善団体で、ニュークレオ・プロジェクト、エル・システマ・ノリッジ、イン・ハーモニーと3つのプロジェクトを立ち上げ活動しています。イン・ハーモニーは2008年に始まって以来、現在は7つの都市(ロンドン、リバプール、リーズ、ニューカッスル、ノッティンガム、テルフォードとレキン)に活動拠点を置き、約4,100人の生徒が参加しています。プロジェクトは、青少年オーケストラはもちろん、音楽教師にエル・システマの効果的な実践方法を教えるワークショップやエル・システマの教師や音楽家が演奏を行い、子ども達にプロの音楽を聴かせる機会などを設けています。また、カナダやEUとの文化交流のため、子ども達はイギリス国外で演奏旅行をすることもあります。2015年には、イタリア、スウェーデン、カナダなどで音楽交流を行いました。

Finland(フィンランド) El Sistema Finland

ヴァンター市で2009年に始まった「郊外に広がる全世界」プロジェクト。こちらはエル・システマ・フィンランドのテンポ・オーケストラが始めた、ヘルシンキ郊外の移民と現地のフィンランド人の良好な関係構築のために設立されたプロジェクトです。始まりのきっかけはテンポ・オーケストラが過去に数回訪れたシステマ・ポルトガルのジェラサオ・オーケストラです。ジェラサオ・オーケストラの取り組みに感銘を受けたテンポ・オーケストラは、ベネズエラのマエストロ2人(ホゼ・フェリペ・ムニョス氏とヘスース・シラ・マルティネス氏)の指導のもと、このプロジェクトを設立しました。現在、ヘルシンキとヴァンターにある5つの学校の生徒130人が参加しており、約半分はバングラデッシュ、中国、日本、エストニア、インド、イラク、コソボ、パキスタン、ロシア、スペイン、トルコ、ベトナム、タイ等と全世界からの移民の子どもたちが参加しています。

France(フランス)

El Sitema France

エル・システマ・フランスは、ジャン・ガブリエル・マエオ氏、カトリーヌ・マエオ氏、パスカル・マシェレ氏とベネズエラのマエストロ・アルシデス・マエストレ・ブランコ氏によって2010年に設立されました。オーケストラへの一員になる意味、音楽理論、リズム、楽器の指導、または自己実現、協調性、自己管理について音楽を通して教育しています。現時点ではパリ、ナント、アルザス、ヴァンデ、カンヌ、ニースで活動しており、プログラムには精神面、感情面、行動面で困難を抱える子どもたち、もしくは複雑な家庭環境に置かれている子どもたちが50人ほど参加しています。今後は、ベネズエラの教育モデルをフランスで再現するため、マルセイユ、ビュック、オルレアン、エクス・レ・バン、モンベリアール、リヴィエール・サル・デゥ・マルティニカとニームに音楽センターを構え、全国をつなぐネットワーク構築を目指しています。

Passeurs d'arts – Tutti

フランスではもう一つ「エル・システマ」に影響を受け設立されたプログラムがあります。ベネズレラの指揮者ラウル・ルボ氏とジャン・クロード・デゥカロン氏が設立したパシュール・ダル(Passeurs d'Arts)は、現在600以上の市区町村で取り入れられている音楽教育モデルです。特にこのモデルを導入したことによって、社会的変化が見られるのがセルジー市です。セルジー市では1,300人以上の子どもたちがこのプログラムに参加しています。他にも障害者向けの音楽プログラム、刑務所でのオーケストラ・プログラム、学校での音楽プログラム、ホワイト・ハンド合唱団やスラム街でのオーケストラプログラム等、このモデルを取り入れたプログラムは多々存在します。コロナ禍でも活動できる方法を模索し、今もたくさんの子どもたちに音楽活動を届けています。

Greenland(グリーンランド) El Sistema Greenland

ベネズエラのエル・システマのグアティレ校で音楽を学んでいたバイオリン奏者兼指揮者のロン・ダヴィス・アルバレズ氏が2011年にエル・システマ・グリーンランドを立ち上げました。ウマナック町にある孤児院の13人の子どもたちから始まり、他人と共存することが困難だった子どもを主に対象として活動している音楽プログラムです。現在は、4~18才の青少年100人が参加しており、2つ目のプログラムを首都ニュークで開始しました。主なミッションとしては複雑な家庭環境に置かれている子ども、もしくはコミュニケーション障害や何かしらの理由で社会に出ることが困難な子どもたちに居場所を提供しています

Guatemala(グアテマラ) System of Youth and Children:s Orchestras and Choirs of Guatemala

2012年に最初のニュークレオ(音楽センター)を設立し、その翌年には最初のアンサンブルを立ち上げたSYCOG(System of Youth and Children:s Orchestras and Choirs of Guatemala)。SYCOGはグアテマラ市13区のニュークレオに合唱団、弦楽オーケストラと幼稚園児のオーケストラを作り、157人の青少年に音楽教育を提供しています。2014年には2箇所目のニュークレオをホコテナンゴ市に立ち上げ、こちらでは46人の子どもが参加しています。ニュークレオ以外でも様々な活動を現地の芸術学校から協力を得て実施し、これまでは合計293人の子どもたちをサポートしてきました。

India(インド) Child's Play India Foundation

Child's Playは、2009年にルイス・ディアス博士によって設立された音楽教育プログラムです。インドの貧しい子どもたちやストリートチルドレンに社会的なエンパワーメントを提供することを目指しています。現在、ゴアの3か所でバイオリン、ヴィオラ、チェロ、リコーダー、フルート、クラリネット、ピアノを子どもたちに教えています。他にも合唱団と2つのオーケストラがあり、毎年多くのコンサートを開催しています。Child’s Playは、団体の使命として、キャリアを奪われてしまった子どもたちに音楽教育を通じてその機会を提供することを掲げています。

Ireland(アイルランド) Irish Chamber Orchestra

2008年にアイリッシュ室内管弦楽団がリメリック市の再生と活性化プログラムとして設立したのがアイルランドでのプロジェクトです。このプロジェクトには、インクルージョンや平等性、様々な社会の課題を改善するという意義があります。そうした意義を、子どもたちとその保護者、スタッフ及び社会に向けて伝えることがミッションです。毎週、ボイスレッスンや作曲のワークショップを開催したり、リメリック市に住む300人の子どもたちにバイオリンレッスンの学費を付与したりしています。現在は3つの教育機関(Le Cheile N.S.とSaint Mary's National School、Coláiste Nano Nagle Secondary School )を通し運営しています。

Italy(イタリア) El Sistema Italy

「音楽は、あらゆる違いを克服することができる」。これは2010年12月にイタリアで設立されたイタリアの青少年オーケストラ・システムのモットーです。ベネズエラの「エル・システマ」に影響を受けて設立されたこのプログラムは、音楽の教育及び社会的価値をアンサンブル演奏を通して発見することを目的としています。現在は8,500人の子どもたちがこのソーシャルプロジェクトに14地域(アブルッツォ、バジリカータ、カンパニア、エミリア・ロマーニャ、フリウリ・ベネチア・ジュリア、ラツィオ、リグリア、ロンバルディア、マルケ、ピアモンテ、プリヤ、シチリア、ヴェネトとトスカーナ)に広がる45箇所のセンターから参加しています。プログラムは主に4〜16歳の低所得層の子どもたち、障害(ダウン症候群、自閉症、知的発達障害等)を持っている子どもたちを対象としています。

Japan(日本) El Sistema Japan

エル・システマ・ジャパンは南米ベネズエラで始まった教育プログラム「エル・システマ」を日本で再現し、困難な立場にある子どもたちの自己実現を音楽を通し支持することを目的としているプログラムです。2011年3月の東日本大震災で津波と原発事故の被害を受けた福島県相馬市に設立した相馬子どもオーケストラ&コーラス(SCO)は、エル・システマ・ジャパンにとっての最初のプロジェクトです。SCOは、現地の中村第一小学校の8〜13歳の生徒27人の放課後プログラムとして始まりました。徐々に拡大し、現在は市内全ての小中高から参加者を募集し、300人以上の 7〜15歳の子どもたちが参加しています。間接的には約2,000人ほどの音楽指導も支援しています。

 

Kenya(ケニア) El Sistema Kenya

エル・システマ・ケニアは、ナイロビの最も貧しいスラム街、カワンウェアで2014年に設立されました。この団体の目標は、貧しい若者の生活を変え、創造的な教育を受けた人々を増やすことです。子どもたちは平日の放課後にバイオリン、ヴィオラ、チェロなどの練習を行っています。ここでの音楽プログラムは、音楽だけでなく、チームワーク、リーダーシップ、敬意、自己表現、自信について学ぶことを重視しています。また、将来の音楽教師の訓練にも力を入れており、エル・システマがケニアに広まるよう積極的に取り組んでいます。今後は地域の小学校で数百人の学生にプログラムを拡大することを目指しています。

 

Korea(韓国) The Dreams Orchestra

ベネズエラの「エル・システマ」の理念と方法論を取り入れた音楽教育プログラム、エル・システマ・コリア。韓国には国内の芸術と文化教育プログラムを教育機関及びコミュニティを通して推進している文化体育観光部が存在します。エル・システマ・コリアも文化体育観光部の支援を得て、Jae-Eun Parkにより2010年に設立されたプログラムです。エル・システマ・コリアは参加者に奨学金やオーケストラ演奏の指導を提供しており、国内に置かれている30箇所の音楽センターの連携とコミュニケーションを円滑にするネットワークを構築しました。現在、低所得層の家庭からの子どもたち3,000人ほどがエル・システマ・コリアの49の施設いずれかに参加しています。夢のオーケストラ(The Dreams Orchestra)は全国から集めた若き音楽家で形成されているエル・システマ・コリアの代表的な一団になります。

Mexico(メキシコ) El Sistema Mexico

エル・システマ・メキシコは、2011年8月にフランシスコ・ガルザ氏とホゼ・カメロ氏が設立したモンテレー市を拠点とするプログラムです。オーケストラ4団、弦楽アンサンブル3団、2団のバンドアンサンブル、合唱団と計10団の音楽グループを通し、約1,300人の子どもたちに音楽教育をわずか15人のスタッフで提供しています。音楽を通じて子どもたちの自尊心、向上心、協調性及び自己管理能力の促進をミッションとしています。

 

Netherlands(オランダ) El Sistema Nederland

エル・システマ・オランダは、全国の子どもたちへ無償で参加可能な放課後プログラムを提供しています。このプログラムを通し、子どもたちには幼少期の頃から自分の可能性と将来に対して前向きになり、将来の目標に向かって突き進むようになってほしいという願いがあります。また、子どもだけでなく大人もこの活動に参加できるようになっており、幼い子どもから高齢者まで幅広い年代の人々が音楽を通じて交流できる場になっています。

 

New Zealand(ニュージーランド) Sistema Aotearoa

ニュージーランドの文化遺産省とオークランド交響楽団の共同プログラムとして2011年に設立されたアオテアロア・システム。小学校2年生から音楽教育と楽器の指導を開始し、楽器の実力が身につくまで継続するプログラムです。現在はマオリとパシフィカの2~17歳の子どもたち約1,200人がプログラムへ参加しています。2014年にはアオテアロア・プオル・ペピ・システムが幼児及びその保護者向けのプログラムを立ち上げ、より多くの人々にこのプログラムから得られるポジティブな成果を共有するため活動を続けています。

Norway(ノルウェー) Tøyen Orkester

2010年、オスロ音楽学校の教師シセル・ラーセン氏がエル・システマ・ベネズエラのマエストロ、フランク・ディポロ氏に出会ったことがTøyen学校の始まりでした。オスロ中心部の近くにあるTøyen学校では、350人の子どもたちが音楽を学ぶため参加しており、参加者の97%は社会的マイノリティや移民の子どもたちです。Tøyen学校では、音楽以外の科目を教える教師からの協力を得て、コミュニケーション、言語力、一般的な教育と併せて、トランペット、バイオリン、フルート、パーカッション、ブラス、クラリネットとコーラスの指導をしています。教師の多くはラーセン氏と同じオスロ音楽学校の教師です。

 

Peru(ペルー) Sinfonía por el Perú

2011年に設立されたペルーの青少年オーケストラは、低所得層世帯の子どもたちを対象に育成や自己実現の支持を目的としている包摂的なソーシャルネットワークです。何十万人の子どもたちの知的、精神的、社会的、及び専門性の発展を促進することをミッションとして活動しています。現在はペルーの10箇所で7つのプログラムを行っており、オーケストラや合唱団の他に、ビックバンド形式でブルースやジャズなどの演奏を行うバンドプログラム、ペルー独自の音楽や楽器の演奏を学ぶピュアペループログラム、弦楽器製作についての技術や知識を学ぶワークショップなど、ユニークなプログラムに数多く取り組んでいます。

 

Portugal(ポルトガル) Orquestra Geração

2007年にわずか15人の子どもたちで始まったジェラサオ・プロジェクトは、教育省の支援を受け、低所得層の子どもたちとその家族を対象とする音楽プロジェクトです。リスボンとコインブラ含め13箇所に音楽教育センターを設置し、現在は80人の指導者が約1,000人の子どもたちに音楽を教えています。このプログラムを通して形成されたオルケストラ・ジェラサオは欧州連合のトップ50の社会プロジェクトにランクインしています。ジェラサオの青少年オーケストラには14〜20歳の青年が160人、子どもオーケストラにはの8〜14歳の子どもが248人、「音楽への紹介」プログラムには2〜6歳の子ども400人が参加しています。リスボンとコインブラ市内の22校がジェラサオ・プロジェクトの支持を受けています。

 

Puerto Rico(プエルトリコ) Música 100 x 35

公共団体プエルト・リコ音楽院の傘下として設立されたMúsica100 x 35は、国内の青少年オーケストラと合唱団のシステムを構築する社会プログラムです。社会教育を大前提として立ち上げられたプログラムですが、同時に国内の音楽教育を多くの青少年へ届けられるユニークな機会でもあります。8箇所のニュークレオ(音楽教育センター)で指導をしている41人の教員により、現在までに4〜18歳の子どもたち4,842人がプログラムへ参加しています。

 

Scotland(スコットランド) Sistema Scotland

2006年に設立された慈善団体システマ・スコットランドの代表的プログラムBIG NOISEは、スコットランド全国にオーケストラセンターを立ち上げることを目指しているプロジェクトです。1箇所目のオーケストラセンターは2008年にスターリング市ラップロックに立ち上がり、2013年に2箇所目のグラスゴー市ゴヴァンヒル、2015年に3箇所目のアバディーン市トリー、さらには2017年に4箇所目のダンディー市ダグラスにセンターが立ち上がりました。この4箇所のオーケストラセンターを通して、約2,800人の子どもたちを支援しています。スコットランド政府が実施した参加者の保護者を対象とした調査では、100%の保護者は子どもがプログラムへの参加によって自尊心が高まった、93%の子どもが以前よりハッピーになった、79%が子どもの集中力が増した、更に43%が子どもが反抗する頻度が減ったと回答しており、子どもたちの成長へ貢献している成果を残しています。

Serbia(セルビア) Music Art Project

エル・システマ・セルビアは「エル・システマ」の方法論を取り入れたマスタークラスから始まりました。教育家ミロジェビッチ・シミッチ氏のサポートを得て、ジュルジャ・パパゾグル氏が2010年にマスタークラス「Music Art Project」を開催して以来、現在はベルグラード、オブレノバツ、チュプリヤ、ヤゴディナとノヴィ・サドでニュークレオ(音楽教育センター)を立ち上げ、その地域特有の課題や参加者のニーズに合わせたプログラムを実施しています。中でも特徴的なのが「ピノキオのオーケストラ参加」という名前の文化交流プログラムです。これは、有名な物語の主人公ピノキオが、たくさんの場所・人に出会い、彼らの違いを知りながら一緒に歩んでいくように、子どもたちがオーケストラを通して好奇心を育み、仲間の個性を知り、そして音楽がその個性をつなげていくという経験をしてほしいという思いからできたプログラムです。このプログラムを通して子どもたちはヨーロッパ各国の子どもたちと一緒に音楽交流を楽しんでいます。

 

Slovakia(スロバキア) Virtuoso

スロバキアの音楽プロジェクトVirtuosoは、子どもに限らず参加者の家族、学校、コミュニティと地方自治体を対象とし、社会全体の人々の信頼関係とチームワークを音楽を通して促進する活動です。特に困難な立場にある子どもたちを経済的に支援し、参加している150人以上の子どもたちに、まずは音楽を発見し、好きになってもらうことを目標として8人の音楽教師が尽力しています。

 

South Africa(南アフリカ) Music is a great Investment

非営利団体Music Is A Great Investment(MIAGI)は、南アフリカ政府の芸術文化部門の支援により2001年に設立された音楽教育プログラムを提供しています。農村地域や貧しい地域の子どもたちを中心に、南アフリカの多くの子どもたちに音楽を学ぶ機会を与え、西洋クラッシック音楽に留まらずジャズや先住民音楽の教育を通して社会を活性化することをミッションとしています。進行中の主なプロジェクトはMIAGI青少年オーケストラとビッグバンド、ケープゲートMIAGI音楽センター、MIAGI保育園と幼稚園トレーニングプログラム、MIAGIメンターとプロテジェプログラム、MIAGI先住民音楽プログラムです。MIAGI保育園と幼稚園トレーニングプログラムは6箇所のセンターを持って活動しています。

 

Spain(スペイン) Acción por la Música

Acción Social por la Músicaは設立からの年数は浅いですが、2013年の設立時から今まで1,000人以上の子どもたちが参加しています。参加している子どもたちはルヴェンタスオーケストラとInstituto Musical Arcos青年オーケストラともコラボしています。恵まれない家庭環境に置かれている子どもたち、社会的リスクに晒されている子どもたち、自尊心や集中力の低下、不登校、コミュニケーション問題等の課題を抱えている子どもたちの幼少期を音楽でポジティブな方向へ推進することがこのプログラム最大のミッションです。このプログラムの音楽及び運営は、姉妹財団であるベネズエラのシモン・ボリバル音楽財団から支持を受けています。

 

Sweden(スウェーデン) El Sistema Sweden

エル・システマ・スウェーデンのはじまりは、2009年にエル・システマ出身の世界的指揮者グスタボ・ドゥダメル氏がスウェーデンのエーテボリ交響楽団とハンマルクレンで訪問演奏を行ったことにあります。音楽を通し健全な社会変革を推進する教育モデルを10,000人以上の子どもたちへ提供しており、現在ではエル・システマを取り入れた101の学校や幼稚園をストックホルム、ウメオ、セーデルテリエ、マルメ、エーテボリやエシルステゥーナに構えています。これらの施設はエル・システマ財団とエル・システマ・プロジェクト・スウェーデンの支援を得て運営しています。

 

Turkey(トルコ) Barış İçin Müzik

建築家メフメト・セリム・バーキー氏によって2005年に設立されたMusic for Peace Foundationは多くの子どもたちに無償で音楽教育を提供し、音楽を通して社会平和を促進することをミッションとしています。イスタンブール市エディルネカピの約5,000人の経済的、もしくは社会的に困難な立場にある子どもたちに音楽教育を受ける機会を与えています。2009年にはドイツ銀行が実施するアーバン・エイジ賞を受賞し、2014年6月には本場ベネズエラとのフレンドシップ条約を結び、正式に「エル・システマ」の理念に基づいた組織として認定されました。現在、こちらのプロジェクトにはオーケストラ2団、合唱団、金管楽器のバンド、アコーディオン・オーケストラがイスタンブールの3箇所にあるニュークレ

 

Uganda(ウガンダ) Förderverein für Musik und Kultur Uganda e.V.

FMKウガンダは、ドイツの非営利団体が母体の財団で、2014年にInternational School of Music, Languages and Polytechnic Studies(IMLS)という学校を設立するなど、厳しい状況におかれた子どもたちに音楽や言語教育を提供する取り組みを行っています。この学校の設立以前、ウガンダには音楽学校や語学学校が一つしかなく、どちらも首都カンパラに位置していました。こうした状況を踏まえ、FMKウガンダはより多くの子どもたちに文化を通した支援、教育を行えるよう、農村部のマサカという地域に学校を設立しました。ここでは経済的に余裕のない人々も楽器や合唱のレッスン、ワークショップが受けられます。また、そうした音楽活動を異なる背景を持つさまざまな人と一緒に行うことで、ウガンダが抱える部族間対立の緩和が期待できます。また、音楽を通した国際理解・国際交流にも力を入れており、ウガンダ国外の人々との交流を積極的に行っています。

 

United States(アメリカ)

Youth Orchestra Los Angele

YOLA(ロサンゼルス青少年オーケストラ)は、エル・システマの影響を受け2007年にロサンゼルス交響楽団によって設立されました。YOLAは4箇所のサイトを持っています。1箇所目のEXPOセンターでは、オーケストラ3団、幼稚園向けプログラム、メンターシップ(指導)、グループレッスン、室内楽及び保護者のアンサンブルを形成し、幅広く活動しています。2箇所目のサイトはHOLA(ロサンゼルス中心部)です。HOLAでのYOLAプログラムは数百人もの学生に徹底した放課後のオーケストラ指導を毎週5日行なっています。芸術高等学校LACHSAが3箇所目のサイトで、ここでYOLAプログラムが実施されています。LACHSAはカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校のキャンパス内に存在し、ロサンゼルス市内の高校生へYOLAプログラムを提供し、週15時間の音楽指導及び学業の支援を行なっています。そして、最も新しい4箇所目のサイトはBeckmen YOLA Centerです。

4箇所のサイトで実施しているプログラム以外でも、YOLA Neighborhood Project(YNP)等、音楽を通し健全なコミュニティの建設プロジェクト、音楽教育を受ける機会を平等に市民に与えるプロジェクト等、様々な活動を実施しており、その一つの成果として世界的に有名なオーケストラとYOLA及び関連プロジェクトに参加している子どもたち1,000人の共同演奏をロサンゼルスで開催しました。

また、YOLA国際シンポジウムも開催しており、教育者や経営者、支持者などの関係者が、学習と対話を通し、より音楽教育を創造的に発展させていくための方法を考えています。

YOLAのメンバーは、YOLA-EXPO、YOLA-HOLA、YOLA-LACHSA、YOLA Neighborhood Project、Take a Standのシンポジウムいずれかに参加している6〜18歳の子ども5,000人以上です。

New England Conservatory

エル・システマと初のフレンドシップ条約を2005年に結んだニューイングランド音楽院(NEC)は、締結以来、NECの多くの優秀な音楽家がフェローズ・システム・プログラムに参加しています。2013年10月に本条約の3度目の更新があり、今後も強いパートナーシップを通して社会貢献を継続していくことを目指しています。

 

Kidznotes

アブレウ氏のベネズエラでの活動に影響を受け、米国ノース・カロライナ州で2010年に設立されたプログラムがキッズノーツです。設立時はわずか60人の子どもたちが参加していましたが、4年目を迎える頃にはデゥラム市内の小学校5校に通う約200人の子どもたちが参加しています。子どもたちは、モーツァルト(初級Ⅰ)、ハイドン(初級Ⅱ)、コープランド(中級Ⅰ)、ヴィバヴァディ(中級Ⅱ)、アブレウ(上級)というレベル別のアンサンブルに分かれて演奏を学んでいます。

 

WHIN Music Project

WHIN Music Projectは、「エル・システマ」の理念に基づいたニューヨーク州ワシントンハイツのコミュニティに特化した社会プログラムです。4〜17歳の困難な立場にある子どもたちに、音楽教育を通して自己成長及び社会性を学ぶ場を提供しています。他人と共にオーケストラや合唱団で演奏し、互いの成長を支え合う「エル・システマ」のピア・メンターシップを導入し、自己表現や協調性、自尊心を持てるように指導しています。

 

Longy School of Music of Bard College

「エル・システマ」のSide by Sideプロジェクトの一員であるバード・カレッジのロンジー音楽院は、「エル・システマ」の方法論を8〜15歳の子どもたちに、音楽教育の初期段階から導入しています。ロサンゼルスでエル・システマの教育方法を教えているティーチング・マスターを通し、各教育センターで選ばれた子どもたちに音楽教育を提供しています。各教育センターの子どもたちはロンジー音楽院のオーケストラとのリハーサルを通して高い質の音楽経験を積むことができ、オーケストラのプロの音楽家は「エル・システマ」の教育法を体験することができるという、両者にとって有益なプロジェクトです。

 

Uruguay(ウルグアイ) Sistema de Orquestas y Coros Juveniles e Infantiles del Uruguay

1996年に設立されたウルグアイの非営利団体青少年と子どもオーケストラ・システム財団。約900人以上の子どもたちが参加しているこのプログラムは、オーケストラへの参加を通し、音楽教育以外にも子どもたちの成長と人間的発達を促進しています。特に低所得層世帯の子どもたちを中心としており、首都モンテビデオやミナス(ラヴァイェハ)とフロリダの低所得地域19箇所に音楽教育センターを構えています。各センターでは6~14歳の子どもたちに徹底的なオーケストラの練習と楽器の指導を提供しています。エル・システマ・ウルグアイの代表的なオーケストラはソドレのホゼ・アルティガス青年オーケストラですが、その他にもオーケストラ8団と合唱団が存在します。

Wales(ウェールズ) Sistema Cymru - Codi'r To

2つの学校、カーナーボン市のYsgol・Maesinclaとバンゴア市のYsgol・Glanceginで始まったCODI'RTOは「エル・システマ」の理念を持って立ち上げられたシステマ・キムルの北ウェールズの地域再生プロジェクトです。3人の音楽教師がYsgol・Glanceginの4年生とYsgol・Maesinclaの5年生に金管楽器と打楽器の指導をしています。また、地域のコミュニティで頻繁にコンサートを行い、子どもたちが大勢の前で演奏を披露することで家族や学校周辺地域とのつながりを持つことを大事にしています。