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ポーランド出身のチェリスト、マレックさんとの交流

相馬子どもオーケストラの代表メンバー17名が、10月29日と30日の週末に東京まで遠征し、エル・システマジャパンにとって大切なふたつのイベントで美しい音色を奏でました。

まずひとつめは、トッパンホールにて開催された、ポーランド出身のマレック・シュパキエヴィッチさんのチェロ・リサイタル。チェルノブイリ原発事故の惨状を思春期に目のあたりにしたマレックさんは、東日本大震災の発生後、「福島の子どもたちの力になりたい」と、ずっとエル・システマジャパンの活動を支援してきてくださいました。

マレックさんはリサイタルで、ショパンの「序奏と華麗なポロネーズOp.31」、シューマンの「幻想小曲集 Op.73」などを演奏。そして、最後にご自身が編曲されたガーシュウィンの「3つの前奏曲」を披露すると、盛大な拍手のなか、客席に「ちょっと待ってね」と日本語でフレンドリーに呼びかけ、一旦ステージ袖に。それから、相馬子どもオーケストラのメンバー17名を連れてステージに再び登場、子どもたちと一緒にアンコール曲を演奏しました。

この日、相馬子どもオーケストラのメンバーが、マレックさんと共演させていただいたのは、「G線上のアリア」。今年3月のドイツ・ツアー中、この曲を作ったバッハが眠るライプチヒのトーマス教会で、故郷の東北に思いを馳せながら演奏したこともあり、子どもたちにとっては非常に思いいれのある曲です。子どもたちとマレックさんは互いにアイコンタクトを交わしながら、やさしく、美しく、透明感あふれる音を紡ぎ、会場では涙を流している方もいらっしゃいました。

翌日は、エル・システマジャパンを日頃より支援してくださる方々を中心に、チャリティ・ガラを開催。相馬子どもオーケストラは、A.コレッリの「合奏協奏曲 作品6 第4番ニ長調」を、颯くん(小6)の指揮で披露しました。そして、前日にひきつづき、マレックさんと「G線上のアリア」を演奏。支援者の方々が温かく見守るなか、子どもたちはマレックさんの穏やかな笑顔とチェロに呼応するように音を奏でて、会場はとても和やかな雰囲気に包まれました。

演奏後、チェロ奏者の里紗さん(小5)が子どもたちを代表して、メッセージが寄せ書きされた色紙をマレックさんに贈呈しました。すると、マレックさんから、「For Risa(里紗さんへ)」とプレゼントが…。なんと、4分の3サイズのチェロでした。前回はハーフサイズのチェロをいただきましたが、里紗さんの成長に合わせて、ひと回り大きなチェロを用意してくださったのです。新しいチェロを手に里紗さんははにかみながらも、とても嬉しそうに「ありがとう」とマレックさんに伝えました。

そして、萌々圭さん(小6)からチャリティ・ガラに参加してくださった皆さまへご挨拶。「今日は私たちの演奏を聞いてくださり、ありがとうございました。私は3年生のときに相馬子どもオーケストラに入り、バイオリンをはじめました。今、小学校でも器楽部に入っていますが、相馬子どもオーケストラでは、ほかの学校の子や、中学生や高校生とも一緒に演奏できるので、とても楽しいし、特別な経験だと感じています。これまで音楽で世界中のたくさんの人とつながることができました。これも応援してくださっている支援者の皆さまのおかげだと思っています」

堂々とした萌々圭さんのスピーチに、相馬の子どもたちの成長と力強いエネルギーを感じた方たちは会場にたくさんいらしたのではないでしょうか。

マレックさん、チャリティ・ガラ参加者の皆さま、リサイタルの客席ではじめて「相馬子どもオーケストラ」を知った方々、そして、相馬の子どもたち。普段は遠いところでそれぞれの道を歩んでいますが、その道が音楽でひとつに通じた週末でした。そういった機会に恵まれたこと、また、それを可能にするために普段から応援してくださっている皆さまに心より感謝申し上げます。

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