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2018年度の作曲教室レポート

9月25日 第1回作曲教室:藤倉大先生&カティンカ・クライン先生(チェロ)

この日はチェロの特殊奏法として、これはカモメの鳴き声を模した奏法が紹介されました(オリヴィエ・メシアンの作品に出てくるそうです)。あまりにもカモメそっくりなので、子どもたちはみんなビックリ。オーケストラに参加している子も、個人でピアノを習っている子も、ふだん18~19世紀の音楽に触れることがほとんどなので、こんなにリアルな音がチェロから出せるなんて全くの予想外でした。

藤倉先生がこの作曲教室で決めているルールは二つ。一つは作品の善し悪しを判断しないこと。もう一つは作曲することを一切強制しないこと。こうしたルールが守られた自由な環境で、子どもたちは自分が純粋に「面白い」、「ヘンだ」と思った音を使い、作曲します。

今回も子どもたちは自分たちの気持ちに素直に従って、良い作品を次々に生み出してくれました。

子どもたちも(そして大人も)社会生活を営んでいると、自分の気持ちを素直に表現する、というのは、なかなか難しいものですが、誰もが何の制約も受けずに自由に表現することができるのが、作曲の良いところです。

 

『ボンクリ・フェス2018 エル・システマジャパン作曲教室』

:蒲池愛先生&黒田鈴尊先生(尺八)

藤倉先生曰く、「この作曲教室を何年か継続してみてわかったことは、全ての人間は子どもの頃、『新しい音』、5歳の子どもの言葉を借りると「変な音」が好きだったということだ」とのことで、「大人になっても5歳の子どものままクリエイティヴでいる人達の作品を、赤ちゃんからシニアまでが楽しめる1日音楽祭」という趣旨で、ボンクリ・フェスは開催されています(ちなみに、ボンクリはBorn Creative(ボーン・クリエイティブ:生まれながらにしてクリエイティブ)の略)。

昨年の第1回フェスに引き続き、今年も関連企画として作曲教室を開催させていただくことができました。

最初の30分で演奏の技法と記譜の仕方、そして藤倉さんの作品「ころころ」を聴きます(ちなみに、「ころころ」というのは尺八の伝統的な奏法の名前で、作品の名前はそこからつけられています)。なかなか生で聴くことのない尺八の音にみんな釘付けです。

その後、尺八の演奏を実際に体験しつつ、1時間ほど作曲。みんなが無事に作品を書き上げ、黒田先生に演奏していただくことができました。

ふえさん(6歳)は「もり」という作品を作曲。先生に教えていただいたさまざまな技法や記譜の方法をふまえながら、森の様子を作曲することができました。ふえさんの譜面から森の雰囲気を感じながら演奏したという黒田先生。ふえさんも「思っていたよりも森の雰囲気が曲に表せて良かった」と、とても満足して終わることができました。

子どもは自由に音楽を楽しむ時間を過ごすことができ、大人にとっては、改めて子どもの発想の素晴らしさ、創造性を感じることのできる時間となりました。蒲池先生、黒田先生、ありがとうございました。

 

10月27日 第2回作曲教室:藤倉大先生&黒田鈴尊先生(尺八)

尺八は「一つの音にさまざまな表情をつける」というのが楽器の特徴とのことです。一つの音に対して、 ・めり ・かり ・ゆり(たてゆり、よこゆり、まわしゆり、たけゆり、こみぶき) ・むらいき …と様々な効果を指定することができます。

これらの効果だけでなく、藤倉先生の作品の名前にもなっている「ころころ」など、特殊奏法もたくさんあります。40分近くにわたって、これらの奏法が説明された後、子どもたちはスラスラと曲を書き始めます。さすが何度も教室に参加しているベテラン作曲家たちです。周りで大人が尺八の楽器体験に熱中して雑音を立てていても、全く気にせず黙々と書き続けます。

教室が終わった後は、子どもたちも楽しく尺八の演奏体験を行いました。藤倉先生、黒田先生、とても楽しい時間をありがとうございました。

最後にはなりましたが、いつもこうした楽しい作曲教室を支援してくださる、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン グループさまに深くお礼申し上げます。

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