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世界子ども音楽祭 世界の子どもたち フランス TUTTI Passeur d'arts




3月29日に開催される音楽祭がだんだんと近づいてきました。コロナ禍ということで私たちは同じ舞台に立つことが難しくなってしまいましたが、今年の音楽祭に映像で参加する国と地域をご紹介いたします。今回ご紹介するのはフランス"TUTTI Passeur d'arts"です。


2013年に創設されたこの団体は、ベネズエラのエル・システマに触発され、フランスで音楽を通じて社会教育システムを開発し、特に支援を必要としている弱く恵まれない子どもや若者が社会的レベルに関係なく音楽を学ぶことを目指しています。さらに気候変動や子どもの病気など幅広い支援と活動に参加しています。現在では、フランス国内の4つの拠点での教室に加え障害のある子どもたちも参加できる活動「CAP Pôle Handicap & Santé」も行っています。


団体の創設者であるジャン・クロード・デカロン氏は、35年前に楽器店を創業し事業を拡大するかたわら、経済的に恵まれない子どもたちへの訪問コンサートやミュージカルを開催してきました。実はフランスでは、日本のように学校など公教育の中での音楽の授業はなく、音楽活動に参加できる子どもは1%以下とも言われます。貧困や移民、学力低下などの社会問題を抱え、学業がうまくいかない子ども、読み書きができない子ども、非行に走ってしまう子どもなどが無視できない数に増えてきています。そのような状況に心を痛めていたデカロン氏が活動のヒントを得たのは、なんと日本への訪問がきっかけでした。日本で西洋音楽がなぜこのように発展しているのか疑問を持っていた彼は、日本の音楽の授業に衝撃を受けます。その後10年間にわたり活動を続け、フランス全国で350を超える学校のオーケストラを設立しました。


「オーケストラは世界でもっとも素晴らしい社会的ツールである」と訴えるTUTTI Passeur d'artsにとって今年は新型コロナウイルスの影響で非常に心苦しい1年となりました。2020年3月には学校が閉鎖してしまい子供たちは窮屈で不自由な生活を強いられ、これまでと同様にオーケストラの練習を行えなくなってしまいました。そんな中どうにか子どもたちが合奏の練習を再開できるようにと室外の練習場を設置しソーシャルディスタンスを保ちながら対面による練習再開が始まるなど、窮屈な現状の改善は着実に進めながら日々活動が行われています。


「オーケストラですべてを学ぶ:演奏すること、愛すること、共に生きること」という団体のメッセージは私たちに音楽の大きな意義と子供たちが平等に音楽へアクセスできる環境づくりの大切さを同時に教えてくれるようです。

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