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子ども合唱祭で演奏する「こどものへいわ」について




「第5回岸和田こなから音楽祭」の委嘱で平野一郎先生が書き下ろした「こどものへいわ(伝承カノンに基づく童声+αの為の”ドナ・ノービス・パーチェム!”)」。今回のエル・システマ子ども合唱祭で東京初演となりますが、こちらは先生によるプログラムノートです。


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「古代ギリシャの戯曲にアリストファネス「女の平和」(原題:軍隊解散者)がある。いつまで経っても戦争を卒業出来ぬオトナのオトコによる支配への痛烈な皮肉と異議申し立てを面白おかしく表した名高い喜劇。それから二千四百余年すぎても何ら変わらぬ人間社会の業の深さを前にして、ふと、強いもの大きいものに憧れよりも恐怖を抱いていた幼い頃の心と感覚を思い起こし、小さくて弱い者だからこそ抱ける、人の倫理の起源たる「こどものへいわ」という概念が脳裏に浮かんだ。


楽器編成は、児童合唱、ピアノ、オブリガートとしてのソプラノとメロディカ、それに25音のハンドベル。楽曲は大きく分けて二つの場面から成る。広く歌われる西洋の伝承カノン〈ドナ・ノービス・パーチェム(我らに平和を与えたまえ)〉を後段の定旋律としつつも、その前段に独特の音律によるもう一つのカノンを対置して、互いに軋み響かせようとしたものである。


難しい時代を生きる世界のコドモの代表者たる東京子どもアンサンブルと岸和田市少年少女合唱団から、かつてコドモであったことのある全てのオトナに向けて、全身全霊の歌と声と鐘が鳴り響き、問いかける。」


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この曲に込められた「平和」の意味は?、誰に向けて歌うのか?と、世界で今も戦火の中にいる子どもたちにも思いを馳せながら、相馬、東京、舞鶴の子どもたちは心を込めて練習しているようです。


7月15日の合唱祭で東京初演となる「こどものへいわ」。この世界に届ける子どもたちの歌と鐘を、是非とも生で聴いて頂きたいです。どうぞよろしくお願い致します。


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